田中健政調会長代行(衆議院議員/静岡4区)は6日、国民民主党を代表し、衆議院本会議で議題となった国民民主党提出の中間層向け住民税減税法案に対して賛成、政府提出の飲食料品消費減税・支援金法案に対して反対の立場から討論を行った。討論の全文は以下のとおり。
本会議 討論原稿
国民民主党・無所属クラブの田中健です。
私は、会派を代表し、国民民主党提出の「就業者の租税及び社会保険料による負担の軽減のために講ずべき措置に関する法律案」に賛成、政府提出の「飲食料品に係る消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の支給に関する法律案」に反対の立場から討論いたします。
物価が上がり、生活に必要なお金が増える一方で、税と社会保険料の負担が重くのしかかる。働いても、賃金が上がっても、暮らしが楽になったと感じられない。私たちは、こうした現役世代、子育て世代の声を受け止め、手取りを増やす政策を求めてきました。
今回の法案も、誰の負担が、いつ、どれだけ軽くなり、その効果が続くのか。この基準で判断すべきであります。
政府案に反対する最大の理由は、消費税減税が終了した後、支援金の対象外となる中間層が大幅な負担増になることです。
政府案では、令和9年4月から2年間、飲食料品の消費税率を8%から1%に下げ、令和11年4月には8%に戻します。
税抜き価格が変わらず、税率変更がそのまま価格に反映されれば、税込み価格は約7%上がります。その間も物価上昇が続けば、家計はさらに厳しい状況で、この負担増に直面することになります。
政府は、支援金の本格導入によって手取りが増えると説明しています。しかし、それは、支援金を受け取れる人だけについての説明です。対象外となる方には、消費税減税の終了を補う支援がありません。
毎日働き、税も社会保険料も納め、子どもの教育費や住宅ローンを負担している中間層の暮らしを、どう支えるのでしょうか。
政府は、本格的な支援金制度までの「つなぎ」として消費税減税を説明してきました。しかし、2年後に終わるのは幅広い国民に及ぶ減税であり、残るのは対象を限った給付です。支援の対象から外れる方への対応が欠けたままでは、継続した負担軽減策として不十分です。
第二の理由は、支援金制度の核心部分が、国民にとって見通しにくいことです。
どの所得水準から対象になり、どこで支給額が最大となり、どこから減り、いくらで対象外になるのか。政府案は、こうした重要事項を広く政令に委ね、最後まで詳細は示されませんでした。中低所得者とは誰を指すのかも結局わからずじまいです。これでは白紙委任といっても過言でありません。
制度の技術的な細部を政令に委ねることと、誰がいくら受け取れるのかという政策の中心を委ねることは、分けて考える必要があります。
令和9年・10年度の先行給付については、年収119万円以下の層に年5,000円程度という参考案が示されました。月にすれば約417円です。
物価高の中で社会保険料を払いながら働く方々に、これで十分な負担軽減になるのか。就業時間を増やす後押しになるのか。給付総額の枠に合わせるだけでなく、生活と働き方の実態から検証すべきです。
また、給付によって負担を補うことと、税や社会保険料そのものを軽くすることは区別が必要です。支援金の対象外の方にも、手取りを増やす道筋を示すべきです。
第三の理由は、所得把握の公平性と、給付を実施するための負担です。
所得に応じて支援する以上、所得を正確に把握することが大前提です。給与所得、事業所得、副業収入など、働き方によって把握の方法や時期は異なります。前年の所得に基づく支援では、足元の収入減少に追い付かない問題もあります。
申告されていない所得をどう把握し、必要な方の受給漏れをどう防ぐのか。マイナンバーで情報を連携しても、もとの所得情報に不足があれば、それだけでは解決しません。
自治体には、対象者の確認、通知、問い合わせ、支給、過払いへの対応などが求められます。初期のシステム整備費と、毎年度の運営費を含め、どれだけの事務経費が必要なのか。給付額と併せて明らかにし、既存の税制度を活用する減税方式とも比較する必要があります。
国が制度を決めた結果、自治体の窓口と住民に複雑な手続きを背負わせることがあってはなりません。
第四の理由は、消費税率を短期間で変えることによる、事業者と消費者への影響です。
参考人質疑で、アキダイの秋葉社長は、日々の買い物における「1円の重み」を訴えました。
私が取り上げた99円商品の問題でも、買い物を分けるか、まとめるかによって端数処理に差が生じ、店頭の対応や負担への懸念が示されました。制度をつくる側が、わずかな差だと片付けてよい話ではありません。
税率を下げる時と、元に戻す時の、レジ改修、値札の変更、経理処理、お客様への説明。2年間の措置のために、現場は二度の対応を求められます。
仕入れ価格や人件費が上昇する中では、減税分がそのまま値下げにつながるとも限りません。その一方で、税率を戻す時には、お店が値上げの説明を迫られます。
外食と持ち帰りの税率差が広がる影響、農業者などの還付手続きや資金繰りへの影響は、今年2月に我が党玉木代表が10の懸念として示していましたが、今に至っても具体的な対応が示されませんでした。こうした問題に対応するために新たな支援や手続きを重ねれば、制度はさらに複雑になります。家計を支える政策には、暮らしを支えている事業者が無理なく対応できる設計が必要です。
第五に、財源と地方への影響を、制度全体として検証する必要があります。
消費税減税を行う2年間と、支援金が本格導入される令和11年以降では、必要な財源の性質が異なります。国と地方の減収、給付、事務経費、事業者への対応まで含めた所要額と、その財源を、年度ごとに明らかにすべきです。
地方の減収補塡は、不交付団体も含め、個々の自治体の行政サービスに影響が出ない形で行う必要があります。国全体の数字だけで十分とは言えません。
これらの課題に対し、国民民主党案は、税の控除引上げと給付を組み合わせ、中間層を含めて手取りを増やす方向を示しています。
まず、所得税について、令和9年分以後も「年収の壁」178万円を維持するとともに、原則として所得によって基礎控除額に差を設けないことを求めています。
生活に必要な費用は、中間層にもかかります。物価上昇に伴う負担増に、控除の引上げで対応するという考え方です。
住民税については、令和10年度以後、基礎控除を引き上げ、給与所得控除の最低額との合計を178万円とします。
これにより、政府の支援金の対象から外れる中間層にも、減税を通じて負担軽減を届けます。
さらに、減税だけでは十分な効果が及ばない就業者には、一定の就業収入や社会保険料の納付を要件として、給付を組み合わせます。社会保険料の負担を理由に働く時間を抑えることのないよう、減税と給付をつなぐ設計です。これが高市総理も目指す、本来の「給付付税額控除」ではないでしょうか!
その実施までの間についても、令和9年度に先行給付を行うための措置を定めています。
そして、年少扶養控除を復活させます。子どもを育てる費用を税制でも考慮し、子育て世代の負担を継続して軽くする。これは、私たちが一貫して求めてきた政策であります。
地方財政への配慮も明記しています。住民税の減収を補塡するために必要な措置を政府に求め、給付に要する費用は国の負担としています。住民の手取りを増やしながら、地域の行政サービスを守ることが必要です。
財源についても、我が党は具体的な選択肢を示しています。
税収の上振れの活用に加え、日銀保有ETFの売却に伴う国庫納付金や、外国為替資金特別会計の剰余金の活用等です。
もちろん、日銀の自主性や市場への影響に配慮し、外為特会についても為替や金利の変動への備えを確保する必要があります。売却代金や含み益を、そのまま使える財源とみなすことはできません。
実際に追加で活用できる収入を精査し、複数の財源を組み合わせ、年度ごとの必要額と対応させる。その上で、国民の負担軽減にどう還元するかを、正面から議論すべきであります。
国民民主党は、政策本位で、よりよい制度を提案してまいりました。
今回も、国民の暮らしにとって、どちらの案が継続した負担軽減につながるかを判断しています。
2年間の減税が終わっても、国民の暮らしは続きます。働くことも、子育ても、毎日の買い物も続きます。その先まで、安心して暮らせる制度にする責任が、私たちにはあります。
中間層を取り残さず、税と社会保険料の負担を軽くし、手取りを継続して増やす。
そのために、政府には、この国民民主党案を取り入れ、本格的な給付付税額控除の実現に向けて取り組むべきだと訴え討論といたします。
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