舟山康江参議院議員会長(参議院議員/山形県)は9日、参議院本会議において、高市総理大臣の所信表明演説に対する代表質問行った。全文は以下の通り。
令和 8 年 10 月 9 日
第222回国会 高市総理所信表明演説に対する代表質問
国民民主党・新緑風会 舟山康江
1 法の支配と国際秩序
国民民主党・新緑風会の舟山康江です。会派を代表して、高市総理の所信表明演説に対して質問を致します。
まずは総理、国連総会への出席、お疲れ様でした。一般討論演説で、国連の重要性と、「法の支配」を重視する姿勢を毅然と訴えられたことに敬意を表します。所信でも、「ルールに基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜く」ため、「日本は立ち上がらなければならない」と決意を示されました。今こそ、その言葉を行動で示す時です。
国連総会では、「法の支配」の重要性の観点から、ICJ、ICC、ITLOS など国際裁判所を一貫して支持するとも明言されました。
ICC をめぐっては、8 月 18 日、米国が赤根所長らを制裁対象に指定しました。我が国は当初の「大変残念」から「日本の立場と相容れない」と踏み込み、今回、総理自らトランプ大統領に、「ICCを支持している」、「支持していく」と、今後もゆるぎなく支持し続ける旨を伝えたことは重要な前進です。
その上で総理に伺います。日米首脳会談では、ICC について「率直なやり取りを行った」とのことですが、ICC 本体を制裁対象とする動きも報じられた中、ICCや赤根所長らへの制裁について、懸念や抗議、撤回要請まで行ったのでしょうか。同盟国だからこそ、伝えるべき価値があります。
総理、法の支配の最後の砦であるICCと赤根所長を、米国の姿勢如何に関わらず、最後まで守り抜く決意を、国会でも明確に表明してください。
さらに、具体的な対応について提案します。
米国からの締約国への圧力により、ICCの財政や業務継続への影響が懸念されています。我が国は最大の分担金拠出国として、2027 年分の分担金をできるだけ早く拠出できるよう、できる限りの努力や工夫を頂き、財政面から具体的に支えていただけないでしょうか。
また、「日本がまずは立ち上がる」のであれば、オランダ、EU、フランスなどと直ちに連携し、制裁解除を求める締約国共同声明を日本が主導して発出していただけませんか。
そして、今回のような他国による一方的制裁から日本国民や企業・団体を守るため、
EU のブロッキング規制も参考に、対抗措置となる制度の導入を検討いただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
法の支配は、国際裁判所を守ることだけにとどまりません。自由で公正な貿易ルールを守ることも、これまで以上に重要です。
} 総理、昨年、世界を揺らした、いわゆる「トランプ関税」は、総理が掲げる「ルールに基づく自由で開かれた国際秩序」と逆行するのではありませんか。
投資拡大と引き換えに関税率が多少下がった、という通商交渉の成否ではなく、力のある国が一方的にルールを書き換えることを認めるのかという、国際秩序そのものの問題です。
GATT・WTO 体制は、世界経済のブロック化への反省から生まれた、多角的で無差別を原則とする貿易ルールです。長年積み上げてきた多角的貿易ルールに反する一方的な措置に対して、日本は同志国とともに声を上げるべきではありませんか。
加えて、WTO の重要な役割である紛争解決制度が機能不全に陥っています。二審に当たる上級委員会は、米国が委員の選任に同意せず、2019 年末から機能していません。総理、今こそ、所信で掲げられた「ルールに基づく、法の支配を基本とする国際秩序」を、司法だけでなく貿易の世界でも貫くべきではないでしょうか。一方的な関税措置に対して国際ルールを守る立場を明確にするとともに、紛争解決制度を含む WTO の再構築に、日本が主導的な役割を果たしていく考えをお聞かせください。
2 大臣の資質と政治への信頼
法の支配を掲げる以上、国内政治への信頼も問われます。簗農林水産大臣をめぐっては、選挙期間中、「政権与党の議席がなくなった地域、その地域の予算はごっそり削られる」。選挙後には、「無所属の議員を応援するなら、私が取ってきた予算を、なんで受注するんだ」「道路予算を大幅にカットした」「そういう行動をとると、いろんな所に支障が出る」などの、支持・不支持と、予算や公共工事上の利益・不利益を結び付けた発言が確認されています。
「道路予算を大幅にカットした」との発言を認め撤回したとは言え、問題は、実際に予算が削減されたかだけではありません。憲法第 41 条が「国権の最高機関」と定める国会の構成員たる国会議員には、権力を抑制的に行使する姿勢こそが求められます。
その地位や影響力を背景に、支持しなければ予算や公共工事で不利益を受けると示唆すること自体、権力の濫用と受け取られかねない重大な問題です。
総務大臣に一般論として伺います。選挙中、選挙後を問わず、選挙に関し、支持・不支持を理由に、特殊の利害関係を利用して不利益を示唆し威迫する行為は、公職選挙法第 225 条第 3 号の対象となり得る。この理解でよろしいでしょうか。
仮に一連の発言が刑事告発されれば、捜査機関が、同じ選挙の関連事実として、その相互の関連性も含めて捜査・評価することも考えられます。そして、当選人本人がその選挙に関して同法 225 条違反で刑に処せられれば、251 条により当選は無効となります。
総理、農政の空転を回避するためにも、問題の重大性を認識し、早急に本人及び関係省庁に事実確認を指示し、結果を明らかにすべきではないでしょうか。また、違法性が具体化した場合、罷免を含めてどう対応するのか。任命権者として、明確にお答えください。
3 再審制度と DNA 鑑定
今回、日本維新の会から入閣した中司宏大臣は、2013 年、清掃工場建設工事を巡る事件で有罪判決が確定しています。一方、大臣は一貫して無罪を主張されています。
そこで中司大臣に伺います。現在も無罪を主張されているのであれば、なぜこれまで再審請求をされなかったのでしょうか。
先の国会では再審制度が改正され、証拠提出命令など再審請求審のルールが明確化されました。改正再審法が請求者の利益保護に不備を残していないか、ご自身で確認する意味でも、再審請求をされてはいかがでしょうか。
そして、総理から法務大臣への指示書には、「冤罪被害の救済を徹底するために、再審制度見直しのために改正された刑事訴訟法の適正な運用を着実に推進する」とあります。
総理には、この指示を具体化するためにも、検察官による再審開始決定に対する即時抗告は抑制的に、再審請求審における証拠開示や証拠一覧表の提出は積極的に進めるなど、改正法を真に冤罪被害の速やかな救済に資する形で運用する決意を伺います。
併せて、DNA 鑑定について伺います。足利事件では、当時導入されたばかりの MCT118 型検査法による DNA 鑑定が、菅家利和さんを有罪とする重要な証拠となりました。しかし、再鑑定で犯人の DNA 型と一致しないと判明し、再審無罪となりました。
先日の NHK「未解決事件」は、この鑑定法について、導入当時のガイドラインが不十分で、科学的評価にも専門家の疑問があったと報じています。
飯塚事件でも同じ鑑定法が有罪判決を支えました。弁護団は、当時の試料の再検証により、犯人由来とされた DNA 型と久間三千年元死刑囚の DNA 型が一致しないことを示す新証拠が得られたとして、3 回目の再審請求の方針を明らかにしていますが、これらの疑念を重く受け止めるべきです。
また、昨年 9 月に発覚した佐賀県警の DNA 鑑定不正では、警察庁の特別監察を経て今年 6 月に報告書がまとまりました。一つの県警で約 8 年間に 239 件もの不正があり、他にも同様の不正がないか、疑念が生じます。
そこで、警察庁による鑑定の評価と再鑑定の仕組みについて、国家公安委員長に伺います。足利事件で鑑定結果が覆り、さらに飯塚事件でも新たな疑義が示されている MCT118 型検査法による DNA 鑑定について、警察庁は、その科学的信頼性を現在どのように評価しているのでしょうか。
さらに、過去にこの鑑定結果が有罪判決の重要な根拠となった事件について、本人や弁護人から合理的な求めがあれば、保存されている試料を現在の科学水準で再鑑定できる仕組みを設けるべきではないでしょうか。
再鑑定の結果が一致すれば司法判断を裏付け、異なれば再審制度によって改めて司法の判断を仰げばよい。科学的に検証できるものを、検証しない理由はありません。
冤罪被害の確実な救済を徹底するため、過去の DNA 鑑定を現在の科学水準で検証し、必要な再鑑定を進めることについて、総理及び国家公安委員長の見解を伺います。さらに、鑑定方法や試料保管について全国統一の適正・厳正な運用を徹底し、独立した法医学鑑定機関の設置も検討すべきではありませんか。総理の見解を伺います。
4 公益通報者保護制度
続いて、行政への信頼に関わる公益通報の問題です。ある独立行政法人の関係者が所管省庁に 2 号通報をしたものの、十分な調査がないまま放置され、退職に至った事案を承知しています。
公益通報者保護法 13 条は、2 号通報を受けた権限ある行政機関に「必要な調査」を義務付けています。具体的な法令違反の疑い、複数の退職や心身への被害まで示されながら、受理せず、たらい回しにし、事実確認もしなかったとすれば、13 条の義務を果たしたとは言えないのではありませんか。総理の認識を伺います。
また、現行制度では、こうした省庁の不作為を早期にチェックし、是正する仕組みが十分ではありません。事業者への通報である「1 号通報」では、消費者庁に事業者の内部通報体制を監督・是正する権限がありますが、行政機関に対する2号通報では、所管省庁が通報を放置しても、消費者庁にはその不作為を是正する権限がありません。
総理、この不十分な実態をご存じでしたか。
2号通報に対しても、消費者庁に是正権限を付与するか、若しくは、通報を受けた行政機関の受付体制や処理体制について、消費者庁がチェックした上で、適正処理を指導する仕組みなど、13 条の調査義務を実効あるものとする制度見直しを行うべきではないでしょうか。
5 責任ある積極財政と政府の役割
国民の信頼に応える政府の責任は、財政運営でも問われます。所信では、「責任ある積極財政元年」として、「政府が一歩前に出て」、官民連携の下、危機管理投資、成長投資を進めるとされています。
「官民連携」として進めてきたのが「官民ファンド」です。クールジャパン機構は累積 540 億円の赤字、JOIN は861億円の赤字、A-FIVE は累積損失 213 億円を残して解散しました。官民ファンドは、民間だけではリスクを取りにくい案件を目利きし、そのリスクを見極めながら、民業補完、政策目的、採算性を同時に実現することが求められる難しい仕組みです。総理、政府に本当にその目利きができるのでしょうか。政府は、これまでの失敗をどう総括し、今後どう改革するのでしょうか。
政府は「官民投資ロードマップ」で、KPI、5W1H を明確にし、PDCA を回し、効果がなければ見直すとしています。ならば、新たな投資についても、民業圧迫になっていないか等を含め、政策効果と収益、停止・撤退基準を事前に明確にすべきではありませんか。
「政府が一歩前に出る」なら、始めるだけでなく、検証し、必要なら止めるところまで責任を負うべきです。総理の見解を伺います。
6 飲食料品消費税減税
さて、今国会の目玉政策が、9 月 15 日に大綱が閣議決定された「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入」です。物価高の中、「手取りを増やす」という大きな目標は共有しますが、前者の、つなぎとしての「飲食料品消費税率引下げ」については、社会保障国民会議の「中間取りまとめ」でも合意に至らず、給付等の手法も併記されていたにも関わらず、わずか 1 週間後の 8 月 5 日に、飲食料品の税率引下げと所得連動給付の先行導入を閣議決定、結論ありきだったのではないかと、違和感が満載です。総理、あれだけ時間をかけた国民会議は一体何だったのでしょうか。合意のなかった「つなぎ」について、直後に一つの案を選んだ理由と判断過程を御説明ください。
先週の党税制調査会での政府ヒアリングも踏まえ、具体的に伺います。
飲食料品の消費税率を 8%から 1%に下げると、政府試算で年間約 4.3 兆円の減収となります。しかし目的は消費者負担の軽減です。国民会議の事業者ヒアリングでは、原材料費や人件費、物流費、システム対応費などにより、減税分だけ価格が下がるとは限らないとの意見が出ました。財務大臣も価格は事業者の経営判断で、確実な見通しは困難と答弁しています。総理、4.3 兆円のうち、どの程度が店頭価格の低下として消費者に届くのか。価格への帰着率を踏まえた家計負担軽減額をお示しください。政府は制度準備に総額 1,119 億円、うち 781 億円を中小企業等のレジ・POS 改修支援などに、338 億円を就業者負担軽減支援金の導入に伴う自治体の税務システム等の改修などに充てるとしています。
しかし、値札の変更や会計・税務処理、従業員教育など、こうした支援の対象外となる対応も生じると見込まれます。しかも、補助は全額ではないのが通例であり、制度変更に伴う民間側の負担は相当なものとなります。
しかも、2年間の時限措置で、8%から 1%への引下げ、8%への復元の双方で費用がかかります。年間約 4.3 兆円の減収に加え、国・地方の改修費、事業者支援、民間の自己負担や人的コストを含む社会全体の制度移行コストはいくらか。他の手法との費用対効果を比較したのか。「公平・中立・簡素」の原則に照らし、なぜこの手法を選んだのか。総理の説明を求めます。
農林漁業者への支援も極めて重要で、制度変更の負担をしわ寄せしてはならず、必要な支援は十分に講じるべきです。総理、農林漁業者、食品事業者、外食事業者への支援について、対象者数、支援単価、総額をどの程度見込んでいるのでしょうか。
地方財政への影響を懸念する声も広がっています。総理、地方消費税収や地方交付税原資の減収分は、国が全額手当てするのでしょうか。また、減税財源の確保のため、重点支援地方交付金などの物価高対策の財源が縮小されることはないのでしょうか。今回の減税で、自治体の物価高対策や住民サービスが後退することはないと明言できますか。
総理は 2 月 18 日、飲食料品減税による金利・為替への影響も検討課題とされました。7 月 31 日、片山財務大臣は円安や輸入インフレへの懸念に、市場の信認確保で対応すると答弁しています。令和 9 年度予算では、今回の減税財源だけでなく、成長投資、危機管理投資、防衛力強化などの財源も必要です。総理、これらを同時に賄いながら特例公債に頼らず市場の信認を確保できるというのであれば、その具体的な財源と見通しをお示しください。また、今回の減税を含む財政運営全体が長期金利や為替に及ぼす影響をどう検証したのでしょうか。
政府は円安是正のため日米協調で円買い介入まで行いました。その一方で、円安圧力を強め得る財政政策を採ることに政策上の整合性はあるのでしょうか。米国との為替・通商関係への影響も検討したのか、併せて伺います。
為替相場を予測せよということではありません。仮に円が 5%、10%下落した場合、輸入物価、食料品価格、減税による家計負担軽減効果がどう変化するのか、感応度分析、シナリオ分析を行ったのでしょうか。行っているのであれば結果を示してください。
私たちは、働けば手取りが増え、成長の果実が家計に届く経済を目指します。税・社会保険料の負担軽減とともに、簡素で公平、持続可能な制度が必要です。
総括的に伺います。政府は今回の政策を、単に「4.3 兆円減税した」という投入額ではなく、価格への帰着、制度移行コスト、円安・輸入物価への影響まで差し引き、「国民の手取りと暮らしが最終的にいくら改善したのか」で検証し、その結果を国民に示す考えはありますか。総理の明確な答弁を求めます。
我が党は、物価や賃金の上昇で税負担が自動的に増える「インフレ増税」に対し、所得税・住民税の控除額引上げを提案しています。住民税を減税しきれない中低所得層には社会保険料を還付する「社会保険料還付付き住民税控除」などで、働く人の手取りを守る提案です。こうした仕組みによって、「インフレ増税」による増収分を国民に還元し、所得の低い方も含めて幅広く手取りを増やしていくという私たちの提案について、総理はどのようにお考えですか。見解を伺います。
7 食料安全保障
秋です。スポーツの秋、芸術の秋、食欲の秋、そして収穫の秋です。現在、各地で稲刈りが行われていますが、地域によっては長雨による刈り遅れ、倒伏や穂発芽などで、収量減や品質低下が懸念されています。総理は現状について、どのような報告を受けていますか。
農業は自然が相手で、気象条件によって質・量とも大きく変動します。工場のように計画生産できません。
一方の需要量について、政府は「需要見通し」を毎年示していますが、過去 10 年で実績との差が 10 万トン以上の年が 5 年。24 年産は 42 万トン、23 年産も 25 万トンの過小推計、つまり足りなかったわけです。この見誤りが「令和の米騒動」を招いたわけですが、政府は「米は足りている」と対応が遅れ、備蓄米放出は翌年 3 月と遅きに失したと言わざるを得ませんが、問題はその後です。
31 万トンの放出で不足感は一定解消された5月以降、当時の小泉農水大臣は「ジャブジャブにしていかなければ価格は下がらない」と発言し、本来は供給不足に備える政府備蓄米を安価に大量放出、その結果、市場価格の混乱と民間の過剰在庫を生み出しました。加えて 25 年の政府の需要見通しが実際より 28 万トン過大だった結果、過剰感が一気に過熱、米市場は価格高騰から一転、下落局面に入っています。
先の特別国会で成立した改正食糧法では、生産者に「需要に応じた生産」を求めています。しかし、政府の需要見通しは外れる。生産量も天候で変動する。その中で、生産者は何を基準に需要量を見極め、バランスの取れた生産をすればよいのでしょうか。生産者一人一人の判断だけで全体の需給を一致させるなど神業です。「需要に応じた生産」の責任、つまり価格変動リスクを生産者に押しつけるのは酷ではないでしょうか。
政府はこれまで米価について「価格は市場、需給で決まる」と繰り返してきました。
8 年産米の農協概算金は各地で 2 万円を割り込む一方、今年 4 月公表の「米のコスト指標」は 60 キロ当たり 20,535 円。このままでは赤字です。
大規模化!コスト削減!もっと努力を!とおっしゃるのでしょう。しかし、それも限界です。
現在、農業者の減少スピードは加速化しています。基幹的農業従事者は 2000 年の 240 万人から 2025 年には 104万人へ減少し、直近 5 年で24%減りました。大規模層への農地集約にも限界が見え、不安定な生産、資材高騰、米価下落が重なれば、離農の加速が懸念されます。
食糧法改正審議で、政府は「需要に応じた米の供給と需給の安定は引き続き国の責務」と明言されました。主食の安定供給は安全保障の根幹です。
総理、現在の需給ギャップ、すなわち米の過剰在庫は誰が生み出したのでしょうか。
農家の責任ですか。それとも、需要見通しや備蓄米放出を含む政府の政策によるものですか。
また、民間在庫が過剰傾向にある一方、政府備蓄米は本年 6 月末 32 万トン、7 年産の買戻しと 8 年産の買入れを含めても 59 万トンで、適正在庫 100 万トンを 41 万トン下回ります。異常気象が頻発する中、早急に適正水準まで戻すべきではありませんか。
コスト割れでは営農を継続できません。離農が進み、農地が荒れ、水田という生産基盤が一度失われれば、容易に回復できず、食の危機を招きます。
EUでは、農業所得を支えるインカム・サポートを実施し、農業経営を支えています。まさに我が党が提案する「食料安全保障基礎支払」の出番です。これは総理が掲げる「危機管理投資」そのものではないでしょうか。農業にこそ積極財政が必要です。総理、コスト割れで危機が迫る今こそ、直接支払制度の導入に踏み出すべきではありませんか。決意を伺います。
食料安全保障という観点では、米国から求められている一般流通用生鮮ばれいしょの輸入解禁要請への対応も、看過できない問題です。現在、農林水産省では検疫協議が進み、リスク管理措置の検討段階にあると承知していますが、米国からの圧力を受けて最終判断を前倒しするとの報道もあります。総理、政府が米国側の働きかけを受け、最終判断を前倒ししようとしている事実はあるのでしょうか。
食料安全保障とは、国内の農地と生産基盤を守り、将来にわたって「つくれる力」を維持することがその根幹です。植物検疫は科学的知見に基づいて判断するとともに、科学的不確実性が残るものについては予防原則に立って毅然と対応し、守るべきものは守る。それこそ「自分の国は自分で守る」ことにつながると考えます。総理のご認識を伺います。
8 鉄道の災害復旧と地域の基盤
最後に、国民の命と暮らし、地域の基盤をどう守るのか。来月の防災庁発足を前に、鉄道の災害復旧について伺います。
鉄道は、地域の足、観光、脱炭素に加え、災害時の物資輸送も担う公共交通、公共財です。東日本大震災では、磐越西線が石油の迂回輸送を担いました。
この重要なインフラである鉄道が、度重なる自然災害を契機に、休止や廃止などの危機に瀕しています。道路や河川など公共性の高い施設には高率の災害復旧支援がある一方、鉄道は「運賃収入を基本として整備、運営することが原則」とされ、同様の支援が適用されないことから、復旧が進まないのです。
斉藤鉄夫元国土交通大臣は、2023 年、2024 年の私の質問に対し、「ローカル鉄道が被害を受けた場合、まず災害復旧が最優先」と明確に約束されました。しかし、2022 年に被災した地元・米坂線は、4 年以上経った今も復旧の目処が立っていません。
井林国土交通大臣に伺います。大臣が替わった今も、この約束は変わらないのか。約束通り災害復旧を最優先で進め、公共性の高い鉄道にも公共土木施設等と同様の支援を行うべきではありませんか。
総理は、災害をきっかけに地域に不可欠な鉄道路線が事実上失われることを、このまま容認するのでしょうか。
公共サービスである公共交通を災害から守り、鉄道ネットワークを維持することは国の重要な責務です。道路や河川と同じく地域社会を支える公共インフラである鉄道について、災害復旧支援のあり方そのものを見直す考えはないのか。総理の基本認識を伺います。
9 結び
今は亡き大塚耕平元参議院議員が中心となって作り上げた国民民主党の結党宣言には、こんな一節があります。
何が「正しい」か、何が「正義」か。価値判断は人によってまちまちである。
だからこそ、議論の前提となる事実を公開・共有し、熟議を尽くし、決まったことを遵守し、権力を抑制的に運用する、それが民主主義の基本である。
事実を隠ぺいし、熟議を避け、権力を濫用する政権では、民主主義を守れない。私たちは今、民主主義の危機に直面している。
先の特別国会では、自民党が衆議院で単独 3 分の 2 以上の議席を持つ中、過去最高額の本年度予算案は、わずか 59 時間の予算委員会での審議を経て衆議院を通過しました。その間、職権立ては実に 19 回。国会提出から参議院で可決・成立するまで 47 日と、1956年以降で最短、戦後3番目の短さとなりました。
また、毎月の実施が与野党間で合意されていた党首討論は、5 月と 7 月の計 2 回に留まりました。
総理、国民が求めているのは、「対案なき野党」でも「数の力で押し切る与党」でも「答弁から逃げ回る総理」でもありません。事実を公開・共有し、逃げずに議論を尽くす国会です。
良識の府、再考の府とも言われるここ参議院から、我々議員一同、力を合わせて「熟議の国会」を実現してまいります。総理にも議論から逃げることなく、真摯に向き合って頂くことを強く求め、私の質問を終わります。
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