玉木雄一郎代表(衆議院議員/香川2区)は8日、衆議院本会議において、高市総理大臣の所信表明演説に対する代表質問行った。全文は以下の通り。
第222回国会における高市内閣総理大臣所信表明演説に対する代表質問
令和8年10月8日
玉木雄一郎(国民民主党・無所属クラブ)
国民民主党代表の玉木雄一郎です。まず熊本地震や千葉県をはじめとする豪雨災害で亡くなられた方に哀悼の意を表するとともに、被害を受けられ今も辛い思いをされている方々にお見舞いを申し上げます。本日は、経済政策、物価高騰対策を中心に質問しますが、最初に、防災対策のアップデートの必要性について伺います。
■ 防災対策
(防災対策のアップデート)
本年7月に発生した令和8年熊本地震では、大きな被害が出ました。現在、半壊以上の被災住宅に対し、「住宅の応急修理」が行われていますが、この物価高の中、上限額75万7,000円では十分な応急修理はできないとの声が被災者から上がっています。被害の大きさに鑑み、特別基準による上限額の引き上げが必要だと考えますが、高市総理の見解を伺います。また、8月の千葉豪雨では、マンションなどが大きな被害を受けました。マンションでは部屋自体に大きな損傷がなくても、地下の受変電設備や給水設備が浸水すると長期間住めなくなります。しかし、現在の災害救助法の仕組みでは「建物は壊れていないが生活できない」場合の被害を十分に救済できません。電気、給水、エレベーターなど生活に不可欠な機能を失った場合は、実際に生活できるかどうかを判断基準とした罹災証明の認定や支援制度に見直すべきと考えますが、総理の見解を伺います。また、災害対応の補正予算の編成が必要だと思いますが、あわせて伺います。
■ 高市内閣の経済政策の方針と成長投資の課題
(高市総理も「リフレ政策」を取るべきではないと考えているのか)
次に、高市内閣の経済政策について伺います。今年2月の代表質問でも、高市総理が財政健全化の指標とする「債務残高対GDP比率」を安定的に低下させるためには、経済成長率が国債の利子率を上回る「ドーマー条件」を満たす必要があると申し上げました。しかし、内閣府による今年度の名目GDP成長率見通しが3.0%である一方、10年債の金利が3.1%を超え、財政の持続性に懸念が生じています。
先月、アメリカのベッセント財務長官が「リフレ政策をやめるべきだ」と発言して以降、片山財務大臣も城内経済財政大臣も、高市政権の経済政策は「リフレ政策ではない」と発信しておられますが、高市総理も、今はリフレ政策を取るべき時ではないと考えておられるのか、総理自身の考えを伺います。リフレ政策を取るべきでないなら、政府が利上げに口出しせず日銀の独立性を尊重することや、積極財政もインフレなどの経済状況を踏まえて機動的に見直すことを総理の口から明確に述べ、市場の懸念を払拭すべきと考えますが、総理の見解を伺います。
(17分野370兆円投資の政府支出規模)
高市政権が官民の成長投資を積極的に推進していることには大いに賛同します。ただし、2040年度までに17分野370兆円のうち、政府支出の規模が不明です。政府は初年度の財政支出が10兆円、その後実質10兆円が続くと機械的に設定しており、民間の試算では物価上昇率を年2%と想定すると政府支出は2040年度までに総額160兆円にのぼります。4割強を政府支出が担うのは公共の比率が高過ぎませんか、総理の見解を伺います。
(成長投資は規制緩和とインフラ整備が鍵)
また、多額の資金を投じても、規制緩和やインフラ整備など投資環境を整えなければ、世界との競争に勝つことができません。1.5兆円を投じて拡張工事が行われている東広島市のマイクロン半導体工場を先日視察したのですが、高さ60メートルを超えると大臣認定が必要な建築基準法の規制があるために、建設スピードを重視して、拡張する西棟の高さを既存施設と揃えることができないそうです。また、電力、水、道路等のインフラ整備も重要ですが、日本では自治体に丸投げです。例えば、台湾では経済部の投資窓口が、投資前の土地や電力・水の確保から許認可、投資後の課題解決まで一貫した支援を提供しています。韓国やシンガポールでも同様の取り組みが行われています。他国に負けないスピードで成長投資を国益につなげるためには、行政手続のワンストップ化や、規制緩和・インフラ整備を政府主導で迅速に進める必要があると考えますが、総理の見解を伺います。
(AIデータセンター冷却設備の規制緩和)
同様に、AIデータセンターの建設についても規制緩和が必要です。絶縁性の冷却液に浸して効率よく冷やす「液浸冷却」が注目されていますが、昭和23年制定の消防法によって引火点によっては冷却液が「危険物」扱いとなることから、一刻を争うAIデータセンター立地の足かせとなっています。安全性が確認できれば基準の特例を設けるなど、AIデータセンターの液浸冷却施設の規制緩和を政府主導で迅速に進める必要があると考えますが、総理の考えを伺います。
(非上場株式の評価方法の見直しが成長投資に与える影響)
次に、投資を阻害しかねない税制見直しの動きについて質問します。国税庁は、非上場株式の評価方法を「残余利益方式」に見直そうとしていますが、日本商工会議所の試算では、評価額が現行の2倍から5倍近くになり、相続税の負担が数千万円から数億円規模で増加するそうです。これでは多くの中小企業の事業承継が困難になります。特に、積極的な投資により利益を出して成長する企業ほど税負担が重くなり、政府の成長投資戦略にも矛盾します。非上場株式評価の「残余利益方式」への変更はいったん凍結し、事業承継や成長投資を阻害しない制度にすべきではありませんか。高市総理の見解を伺います。
(国債NISA枠と相続税非課税国債の創設)
国債金利の安定化に資する政策も提案します。個人の最適な資産形成機会を提供し、また日銀に代わる安定的な国内保有を確保する観点からも、国民民主党は国債をNISAの対象に加えることを提案しています。また、NISAの対象となった国債を相続税非課税とすることで高齢者にも購入してもらい、個人の国債保有比率を高めて金利高騰や利払費の抑制につなげることができます。イタリアではメローニ政権が2023年に保有期間に応じて利率が上がり、相続税も非課税の個人向け国債、BTPバローレを発行して家計の国債保有比率は6%から15%に上昇しました。日本の個人国債保有比率は2%程度なので伸びしろがあり、国債金利の安定にも資すると考えます。国民民主党はすでに法案を提出していますが、個人向け国債を税制優遇することについて、総理の考えを伺います。
■「インフレ増税」に対応した「手取りを増やす」政策の必要性
(「インフレ増税」による大幅税収の上振れに対する認識)
今、政治が取り組まなくてはならない最大の課題は物価高対策です。国民民主党の考える物価高対策の基本は、物価や賃金が上がると税収が自動的に増える「インフレ増税」から国民の懐を守ることです。実際、国の税収は6年連続過去最高を更新中で、今年度も税収は90兆円超え、最低でも6兆円の税収上振れが見込まれます。7年連続の記録更新は確実で国の懐は豊かになりますが、国に想定以上の税収が入るということは、国民は想定以上に税金を負担しています。この「インフレ増税」によって取り過ぎた税収の一部を、インフレで困っている国民に返すべきというのが国民民主党の考えです。政治の役割は、国の懐を豊かにすることではなく、国民の懐を豊かにすることではありませんか。
昨年、国民民主党の提案によって、30年ぶりに所得税・住民税の控除額、「年収の壁」の見直しが行われましたが、「インフレ増税」分をお返しするため、住民税・所得税の控除額をインフレや賃金上昇率に連動させる「インフレ調整」が引き続き必要だと考えます。総理の見解を伺います。
■ 飲食料品消費税減税の課題
次に、食料品消費税減税について伺います。総選挙後の2月の代表質問で、私は「10の懸念」をこの場で指摘しました。その後、国民会議の議論などを経て明らかになったものもありますが、いまだに不十分・不透明な点もあり、特に、農家支援、外食支援、中間層増税の3点に絞って質問します。
(農家への支援策)
まず最初に農家への支援です。免税事業者や簡易課税事業者の農家には、「売上高を踏まえた給付金制度」を設けるとのことですが、具体的にどのような制度になるのでしょうか。売上の5.4%分を基準として給付との報道もありますが、事実ですか。その給付金は誰がいつ、どのように配るのでしょうか。税務署ですか、農協ですか。また、農協の組合員ではない農家ももらえますか。さらに、課税事業者にならなくてももらえますか。農家はみんな心配しています。総理、教えてください。
課税事業者になるくらいなら、コメの値段も下がったし、農家をやめようという人もいます。今回の減税で離農を促す結果になりませんか、総理の認識を伺います。
一方、課税事業者には還付までの資金繰り対策が重要になります。私の地元の卵の農家からは、還付の金額が3,000万円から1億5千万円に跳ね上がると言われました。課税事業者向けの資金繰り対策では利子も含めて対応してくれるのか、明確にしてください。
これらの対応策で大綱に書かれた「現場の納得感のある対応」と本当に言えるのでしょうか。納得「感」ではなく、きちんと「納得」が得られる対策を求めます。
(外食への支援策)
次に、外食産業への対策を伺います。飲食店は、外食とテイクアウトの価格差が現在の2%差から9%差に拡大し、「外食離れ」が進むと心配しています。しかし、外食対策は「影響の及ぶ業態などを見極めた上で」とされており、まず減税をやってみてからと、対策が後回しになっています。「テイクアウト等の多角化支援」が掲げられていますが、テイクアウトでは利益率の高い生ビールなども出せず、外食支援策とは言えません。総理、外食産業への対策はこのままで十分とお考えですか。仮に外食の倒産が増えたら責任取れますか。総理の認識を伺います。
国民民主党は、外食支援策の一つとして、2年間、クレジットカードの手数料負担を補助することを提案します。政府がキャッシュレス化を推進する中で、平均3%超と先進国では最高水準のクレジットカード手数料や電子決済手数料を引き下げることは、外食産業への支援として効果が高いと考えますが、総理の考えを伺います。
■ 「支援金」の課題と国民民主党版「給付付き税額控除」
(「支援金」の金額も対象所得層も財源も不明)
次に、新たに創設される「就業者負担軽減支援金」制度について伺います。まず、高市総理自身が「本丸」だと言ってきた「給付付き税額控除」が「税額控除なき給付」になっていますが、総理はこれで満足なのでしょうか。そして、多くの人が知りたいのは、この「支援金」をもらえる対象年収と金額です。年収300万円以下との報道もありました。政令で定めることとされていますが、一体、年収いくらの人が何円もらえるのか、この場で具体的に示してください。これが分からないと、2年後に消費税率を8%に戻す時に、誰が実質的に増税となるかが分かりません。国会の場で、具体的な給付対象となる年収や給付金額を明らかにすることが、法案審議の前提条件だと考えます。
(今年度中の「給付」の必要性)
今月から3000品目以上の食料品などが値上がりし、電気・ガスへの補助金も先月末で終了しました。一方、飲食料品の消費税減税が始まるのは来年4月から、そして1%分の給付が始まるのも、報道では来年秋頃、すなわち1年先とのこと。国民が物価高騰に困っているのは「今」です。今年度の予備費も活用して、必要なら補正予算を編成して、年内に給付を行うべきです。給付には時間がかかるというのは過去の話で、東京都の提供する「東京アプリ」のように、ペイペイポイントや楽天ペイなどに自由に交換できるようにマイナアプリを更新すれば、年内の給付は可能と考えますが、総理の見解を伺います。
(2年後の中間層増税にどう対応するのか)
最大の課題として問題提起したいのが、消費税率を8%に戻した時に、中間層にとって大幅な増税になることです。総理は、所信表明演説で「経済や市場が想定と異なる動きを示した場合には、必要な対応を機動的に講じます」と経済政策の基本方針を述べられましたが、仮に、大規模災害や感染症の大規模拡大があった場合などには8%に戻すことを止めたり延期することはあり得るのでしょうか。総理の明確な答弁を求めます。
国民民主党は2年後に8%に戻すとき、所得税・住民税を減税して中間層増税を避ける政策をセットで講じることが不可欠だと考えます。飲食料品の消費税減税が、新たに設けられる「支援金」へとつながるのは、報道によれば年収300万円以下の低所得者だけで、300万円以上の中所得者には支援がつながりません。いわば「年収300万円の壁」ができるのです。国民民主党は、この壁を乗り越えるための「現役世代減税」として、控除額の引き上げによる所得税・住民税の年間4〜5万円程度の減税を提案しています。
具体的には、「インフレ増税」に対応するため、所得税「103万円の壁」の178万円への引き上げの継続や、住民税の「119万円の壁」の178万円への引き上げの実現です。特に、住民税の控除額を速やかに生活保護水準の160万円まで引き上げる必要があります。2年後に待ち受ける中間層増税を避け、現役世代の手取りを守るためにも、私たちの提案を採り入れていただけませんか。総理の見解を伺います。
(財源確保と説明責任)
財源について伺います。総理は「御心配には及びません」と述べられましたが、消費税減税の財源に限ってであれば私も同感です。来年度の税収は100兆円近くになり、税外収入を入れると110兆円を超えると見込まれます。しかし、私が心配なのは、むしろ①防衛3文書の見直しを踏まえた防衛力強化の財源、②高市政権の看板政策である成長投資の財源、そして③金利高騰による利払費の増加やインフレによる社会保障給付の増加という3つの大きな歳出項目の財源です。これら「歳出3兄弟」に消費税減税を加えた政策の財源を一体的に説明しなければ、市場の信認を得ることはできません。財源の全体像についてもっと具体的に示すことで、市場の信認を得るべきではないでしょうか。総理の考えを伺います。
(簗大臣の発言を受けた全省調査の必要性)
ここで簗大臣に伺います。今年2月、国土交通省の官房長を呼び出し、なぜ那須烏山市と那珂川町の2市町の予算だけを「問い合わせ」たのですか。そして「問い合わせ」ただけなのに、なぜ「予算をカットした」と自分の手柄のように語ったのでしょうか。国土交通省の記者会見によれば「配分額の増減のお尋ねがあった」そうですが、普通、予算の増額の問い合わせはしても、減額の問い合わせはしないでしょう。本当に減額を働きかけた事実はないのですか、正直にお答えください。官僚の皆さんが苦しい弁明をしている姿は気の毒でなりません。そして高市総理はご自身の任命責任をどのように考えていますか。また、同様の事案が他の地域や他省庁で一切ないと言い切れますか。国民の疑念を払拭するためにも全省調査を行うべきではありませんか、答弁を求めます。
■ 社会保障給付の適正化と社会保険料負担の軽減
(社会保険料をどのように引き下げるのか)
社会保険料の引き下げに関して、連立与党である日本維新の会の中司大臣に伺います。日本維新の会が訴える後期高齢者医療制度の窓口負担を原則3割にする方向性については賛同します。ただ、現行制度のまま3割にすると公費負担がなくなり、かえって現役世代の社会保険料負担が増えてしまう可能性があります。原則3割負担にした時の公費負担のあり方をどう考えているのか、中司大臣に伺います。
(傷病手当金の適正化の必要性)
社会保障給付のうち「傷病手当金」の支給件数が、ここ数年大幅に増加しています。傷病手当金は病気やケガで収入を失う人の生活を守る安全網ですが、退職直前に傷病手当金をうまくもらえるように指南する退職支援ビジネスが存在します。政府はこうした傷病手当金の受給指南を行う退職支援ビジネスの存在を把握していますか。また、単なる退職金の上乗せのように制度が悪用されている例はないのかなど、国として実態把握ができていますか。傷病手当金の給付を適正化して健康保険料の増加を抑えるためにも、国として速やかに調査すべきと考えますが、総理の考えを伺います。
(年金積立金の超過運用益を使った年金保険料の引き下げ)
年金の保険料が高いと感じている方も多いのではないでしょうか。年金積立金を運用するGPIFの積立金残高は、近年の国内外の株高や円安によって、2019年の財政検証時の想定に比べ、約70兆円も超過しています。この超過運用益を使って、将来受け取れる年金額を減らすことなく、労使折半の厚生年金保険料18.3%を、労働者1%ポイント、事業主1%ポイントの合計2%ポイントを時限的に引き下げることは可能です。月収30万円の人で年間3.6万円、食料品消費税減税と同規模の負担軽減になります。事業主の社会保険料負担も年間数百万円軽くなり、賃上げの原資を確保できるので中小企業の賃上げを後押しできます。年間4兆円の財源が必要ですが、5年間の時限措置として行えば、積立金の超過分で確保できます。法改正が必要ですが、現役世代の手取りを増やすために、GPIFの想定を上回る運用益を社会保険料の軽減に回すべきです。総理の見解を伺います。
(「MFN対策」と創薬イノベーションの推進)
薬価改定について伺います。創薬が17の成長分野の1つに位置づけられ、また本年7月開催された「創薬力向上のための官民協議会」に出席した高市総理も「御懸念の米国のMFN価格政策に関しましては、国民や患者の皆様に革新的薬品が迅速に届くよう、確実に対応していくことを約束します」と力強く述べられました。しかし、これらの方針を具体化するために設置された「創薬力向上のための官民協議会 施策検討・推進部会」には大臣や副大臣、政務官の出席もなく、部会で出た意見が「中医協」や政府内の検討に反映されるのか疑問です。イノベーションを後押しする薬価制度の実現に向けて、政治がリーダーシップを発揮すべきと考えますが、総理の見解を伺います。
また、国民民主党は、薬価を毎年切り下げる中間年改定の廃止を訴えています。2016年に決まった中間年改定こそ「長年続いてきた過度な緊縮志向」の象徴です。基礎的医薬品の安定供給のためにも、薬価の中間年改定を廃止すべきです。総理の見解を伺います。
(健康寿命延伸を国家戦略に)
日本の健康寿命は74歳と世界一です。実は今、世界で健康寿命を伸ばす研究が進んでいます。その一例が、東北大学と東京大学の合田圭介教授が率いる合田研究室が開発した「スーパーエクソソーム」の研究で、今年8月の国際コンペでトップ10に選出されました。マウス実験による推計ではヒト換算で約15年以上の健康寿命が伸びる結果が出ています。少子化が短期的には解決しない中、健康長寿化に真剣に取り組むことが、就業者の増加による社会保険料収入の増加や健康増進による医療費の上昇抑制を通じた社会保障改革に繋がるのではないでしょうか。また、米国の製薬メーカーが時価総額100兆円を超える企業になったように、健康長寿化という最も社会的意義が高い取り組みで100兆円企業が日本から生まれることも期待されます。高市政権として健康長寿を国家戦略に位置付けてはいかがでしょうか、総理の見解を伺います。
■ 教育と科学技術への投資
(年少扶養控除の復活と障がい児福祉の所得制限撤廃)
所信表明演説では子育て政策について言及がありませんでした。全国を回って一番言われるのが、年少扶養控除を復活してほしい、障がい児福祉の所得制限を撤廃してほしいとの声です。年少扶養控除は子どもの数に応じて所得税・住民税の控除を拡大する、まさに「子ども減税」とも言える政策です。また、補装具の補助の所得制限は撤廃できましたが、特別児童扶養手当など障がい児福祉の所得制限も全廃すべきです。子どもの生存権を保障するためにも、年少扶養控除の復活と障がい児福祉の所得制限の全廃を行うべきではないでしょうか。
(公教育の充実とAI時代の教育の質について)
これまでの教育支援では、経済的負担の低減に重点が置かれてきましたが、私立高校無償化による公立高校の定員割れや学校施設の老朽化など、公教育の空洞化や質の低下が懸念されています。公教育の充実と質の向上について、高市総理の見解を伺います。また、AI時代に日本の将来を支える子どもたちにどういった教育が必要なのか、次期学習指導要領の中にAIに関する教育をどのように取り入れていくのか、総理の方針を伺います。
(博士課程の学生や若手研究者への支援強化)
主要国の中で大学向けの研究予算を減らしているのは日本だけです。海外の大学では、博士課程の学生を「授業料を払って学ぶ学生」でなく「将来の科学技術を担う人的資本」として高待遇を用意し世界中から集めています。また、日本の若手研究者の合い言葉が「Temporary to Permanent(有期雇用から正規雇用へ)」と言われているように、雇用環境が不安定です。若手研究者が安心して研究に専念できる環境を用意し、優秀な研究者の海外流出を防ぐべきです。競争的資金である科研費の倍増だけでなく、大学の基盤となる「運営費交付金」も倍増させ、若手研究者が基礎研究に腰を落ち着けて取り組める環境を整備すべきだと考えますが、総理の見解を伺います。
(AIの安全性確保)
人間の能力を超えるクロード・ミュトスのようなフロンティアAIが出てきている中、AIが人類を絶滅させるとの主張も出てきています。AIの安全性や制御不能リスクへの対応策を政府はどのように考えているのか、国連総会で「AIサミット」の早期開催を呼びかけた高市総理の考えを伺います。また、トランプ大統領はAIをSI(スーパー・インテリジェンス)と呼ぶべきだと主張していますが、高市総理はその考えに賛同しますか、それとも日本ではAIはAIのままで良いと考えるのか見解をお聞かせください。
■ 外交・安全保障と危機管理
(ドローンに関するウクライナとの政府間協定の必要性)
先月ウクライナを訪問し、関係当局とドローン戦について意見交換をしてきました。そこで痛感したのは、ドローンは一度配備すれば終わりではなく、毎日大量に消耗され、大量に補充し続ける必要があるということです。そして、ウクライナでは、数週間単位でドローンを改良する迅速な開発サイクルが出来上がっています。
こうしたウクライナにおける実戦の知見やデータを日本の防衛に活かすために、日本とウクライナの政府間で合意書を結び、ドローンの研究開発、企業間協力、実証、運用データや教訓の共有を行うべきと考えますが、総理の考えを伺います。
(価格のみによらない調達の徹底と安価なドローンへの対応)
ウクライナ当局から懸念を示されたのは、北朝鮮がロシアとの連携を深め、ドローン戦の実戦経験を積み重ねていることでした。既に北朝鮮がジェット推進型攻撃ドローンの大量生産体制を整えたとも言われており、我が国としても弾道ミサイルへの対応と併せて、攻撃型ドローンに対する迎撃体制を早急に整備することが不可欠です。
我が国の防衛装備品としてのドローン調達では、価格の安さだけでなく、現場が求める性能や、有事における国内の増産能力などを評価項目に入れるべきです。安価だが低性能では意味がありません。迎撃ドローンの調達では、価格だけでなく、増産能力や運用コストを総合的に評価する方式を徹底すべきと考えますが、総理の見解を伺います。
また、飛来した数千、数万という安価な攻撃ドローンを高価な迎撃ミサイルで撃ち落とすことは現実的ではありません。安価な攻撃ドローンは安価な迎撃ドローンで落とす能力を持つ必要があります。その意味で、迎撃一回当たりのコスト(cost-per-kill)を調達の基準として明確化し、迎撃ドローンを国内で大量生産する体制を早急に整備すべきと考えます。総理の認識を伺います。
(北朝鮮のドローン製造能力強化への対応と輸出管理の徹底)
また、ロシアの攻撃ドローンに日本企業の部品が使われており、輸出管理を徹底してほしいとの要請もウクライナ側から受けました。さらに、日本企業がドイツ企業とロシア国内に設立した合弁企業が製造したパーツが、ロシアのドローンにも使われているとの話も聞きました。政府として、日本関連企業の部品がロシアに渡らないように、どのような手立てを講じているのか、総理に伺います。
■ 憲法改正
(憲法改正案の発議と9条改正)
憲法改正議論が停滞しています。その原因の一つは、9条改正について同じ与党である自民党と維新の会で意見が割れていることです。特に、自衛隊は「軍隊」なのかどうか、また、自衛隊法の規定がポジティブリストかネガティブリストなのかで意見が分かれています。与党内で意見が割れていては、とても来年2月の自民党党大会までに憲法改正発議のめどを立てることはできません。まずは、自衛隊が軍隊なのかどうかについて、与党内で考えを整理してください。高市総理自身は、自衛隊が国内法的にも軍隊だと考えているのか、自民党総裁として考えをお聞かせください。
(終わりに)
今回、ウクライナ訪問にあわせてポーランドも訪問しましたが、街中で目立つのは、日本企業ではなく韓国企業のロゴでした。ウクライナもポーランドも、日本への期待を示してくれましたが、その信頼や期待はこれまでの世代の先輩たちが営々と築いてくれた資産であり、日本は今のような影響力と尊敬を維持できないのではないか、そんな不安を感じた訪問でもありました。だからこそ、日本は強い経済を取り戻し、世界から期待と尊敬を集められる国であり続けなくてはなりません。
高市総理におかれては、日本のプレゼンスを高めるため、ぜひ積極的に首脳外交を展開していただきたい。その一環として、ぜひウクライナを訪問し、力による現状変更を許さない、法の支配を守り抜く、揺るぎない日本の姿勢を世界に示していただきたい。その際には、国会開会中であっても最大限協力することをお約束申し上げ、質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
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