庭田幸恵議員(参議院議員/富山県)は13日、参議院本会議で議題となった健康保険法等改正案などについて質疑を行った。全文は以下のとおり。

           令和8年5月13日

参議院本会議
健康保険法等の一部を改正する法律案に対する質疑

国民民主党・新緑風会 庭田幸恵

国民民主党・新緑風会、 庭田幸恵でございます。

会派を代表して、ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案につきまして、質問いたします。

私は、癌で余命半年宣告をされた父の最期を自宅で看取り、母の認知症と現在、向き合っています。
その中で実感したのは、人は制度の中で生きているのではなく、不安の中で暮らしているという現実です。
だからこそ、本法案を審議するに当たり、まず確認したいことがあります。
本法案は、制度ごとの見直しを束ねた改正にとどまるのか。
それとも、社会保障全体の将来像を見据えた、一体的な再設計の第一歩なのか。

医療、出産、負担のあり方――
個別の制度は、それぞれが独立して存在しているのではなく、
国民の暮らしの中では一つにつながっています。
しかし今回の改正は、全体としてどのような社会保障像を描こうとしているのかが見えにくいとの指摘もあります。
そこで、総理に伺います。
本法案は、我が国の社会保障をどのような方向に導くものなのか。
個別改正法案の束ねは、将来を見据えた制度設計として、どのように位置付けているのか。
その基本認識をお聞かせください。


1.後期高齢者医療制度における金融所得の反映について

次に、後期高齢者医療制度における金融所得の反映について伺います。
今回の見直しで、保険料の算定等に反映されることとなるのは、上場株式の配当等の金融所得にとどまっており、金融資産の保有状況は考慮されません。負担能力に応じた公平を目指すには、なお限定的です。

なぜ、今回の見直しの対象を、金融所得のみにとどめたのか、その理由をお示しください。

また、法案成立後3年程度で、法定調書情報の連携を進める以上、より広い金融所得の反映に踏み込むのか、更なる改革に向けた方向性やスケジュールを厚生労働大臣に伺います。


2.出産にかかる負担の軽減について

次に、出産にかかる負担軽減について伺います。

今、日本では、子どもを持ちたいと思っても、
出産、育児、住まい、働き方、教育と、将来不安が重くのしかかっています。
私自身、娘の大学卒業から十数年を経て、ようやく学資ローンの返済を終えたところです。
子育てとは、出産の瞬間だけではありません。
家計にも、親の人生にも、長く深く関わりますので、丁寧な議論が必要です。

(1)正常分娩と異常分娩の負担差について

まず、出産費用の給付体系について伺います。

今回の見直しでは、
正常分娩は現物給付化される一方、
帝王切開など異常分娩は、従来どおり保険診療として、一定の自己負担が生じます。

しかし、正常分娩になるか異常分娩になるかは、妊婦自身が選べるものではありません。
経過によって経済的負担に差が生じる、自己負担が生じるという不安を生じさせるおそれがあります。

政府は、この点をどう受け止めているのか。
出産に伴う負担の公平性をどのように確保していくのか。
厚生労働大臣に見解を伺います。

(2)地方・へき地の周産期医療をどう守るか

あわせて、周産期医療の提供体制について伺います。

経済的な負担が軽減されても、地域で安全に産める体制がなければ、
安心して出産できません。
少子化の進行により、出産を扱う医療機関は減少し、
地方では、その影響が一層深刻です。

私の地元富山でも、分娩を扱う医療機関が限られ、地域によっては、出産のために市町村をまたいで移動せざるを得ない現実がすでにあります。出産を支える医療機関が、制度変更でさらに経営不安にさらされるようなことは、絶対に避けなければなりません。

そこで、総理に伺います。
国は、新たな給付体系の下で、
地方・へき地の周産期医療を守り抜くため、どのような支援を講じるのか。

お聞かせください。


3.OTC類似薬の見直しについて

次に、OTC類似薬の見直しについて伺います。

自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てするセルフメディケーションの議論自体は必要だと考えます。

また、私たち国民民主党は、現役世代の保険料負担を軽減し、
手取りをもっと増やすことを訴えています。
その意味でも、公的保険の適用範囲の見直しは避けて通れません。しかし同時に、その見直しが、必要な受診の抑制や遅れにつながってはなりません。

そこで伺います。
一部保険外療養の創設により、政府は現役世代の保険料負担は具体的にどの程度軽減されると見込んでいるのか?

また、国民が適切にOTC医薬品を活用できるよう、薬剤師へのアクセス、情報提供、相談体制など、
セルフメディケーションを支える環境整備をどう進めるのか。
具体策を厚生労働大臣に伺います。


4.医療現場を本当に守る改革なのか

次に、本法案で、業務効率化や勤務環境改善に取り組む病院について、新たな認定制度を創設することについて伺います。

昨今、医療現場では医師、看護師、薬剤師、事務職員を含め、人手不足と業務過多が常態化し、とりわけ地方の病院ほど、必死に地域医療を支えてくださっています。

そうした中で、業務効率化や勤務環境改善を進めることは一つの重要な課題ではありますが、現場が真に必要としているのは、認定制度なのでしょうか。

認定を受けるために、更に病院の業務負担が増える結果となってしまうことを懸念しています。
この認定制度は、現場の負担を増やすだけの制度にならないのか。
認定取得の事務負担をどう軽減するのか、厚生労働大臣に伺います。

また、赤字経営の病院が増えている中、賃上げ、人員確保、タスクシフト、DX支援など、抜本的に
現場を本当に支える具体策をどのように講じるのか、お答えください。


5.高額療養費制度

次に、高額療養費制度について伺います。

今回の改正で高額療養費の家計へ与える影響について、
「とりわけ長期にわたって継続的に療養を受ける者の家計」という文言が条文に追加されています。

この制度は、高額な治療を受ける人の家計を守り、治療を続ける希望を守り、そして病の中にある人の心を守る、命綱の一つです。

令和8年度予算案の審議において、高額療養費の窓口負担の見直しについての質疑の中で、医療費の窓口負担見直しについては、受診行動だけではなく、癌や難病といった病気と向き合う方々、そしてそのご家族からの「これから医療費はどうなるのかわからない」という、治療の継続・生活の不安など、現実の声に接し、胸が痛くなりました。

そこで、厚生労働大臣に伺います。
今後も、高額療養費制度は、
長期療養者、がん患者、難病患者といった方々、そのご家族の治療の継続と生活の維持、家計防衛機能を果たすことができるのでしょうか。

また、今後、政令で定める窓口負担額の変更について、今回の改正に照らし、その家計に与える影響について検証はされるのでしょうか。


6.結び ― 人間の安全保障としての社会保障

最後に、総理に伺います。
日本が掲げる人間の安全保障とは、国家だけではなく、一人ひとりの生存、生活、尊厳を守る理念です。
であるならば、社会保障もまた、その理念に立つべきではないでしょうか。
社会保障とは、弱った人の“自己責任”にしないためにある制度です。
しかし、
病気、介護、貧困、孤立――
命と尊厳を揺るがす不安の中で生きている人々が、この国にはいます。
私は、中東で不安の中にある家族を持つ者でもあります。
日本には、今ミサイルが日常的に飛んでくる状況にはありません。
だからこそ申し上げます。
人が安心して生きられる社会は、当たり前ではありません。

脅威の形は違っても、社会保障において人の安全が脅かされているという点では、本質は同じではないでしょうか?

それは、
政治が選び、守り続けて初めて成り立つものです。

守り抜く覚悟があるのか。
その覚悟を、国家としての意思として示せるのか、総理の決意を求め、私の質問を終わります。

                               以上

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