平戸航太国対副委員長(参議院議員/全国比例)は8日、国民民主党を代表し、参議院本会議で議題となった下水道法等改正案に対する質疑を行った。質疑の全文は以下のとおり。
「下水道法等の一部を改正する法律案」
質問原稿
令和8年7月8日
国民民主党・新緑風会
平戸航太
国民民主党・新緑風会の平戸航太です。
まず一言申し上げます。
今、国会審議の在り方について、国民の皆様の間には様々な受け止めがあります。しかしながら、いかなる事情があろうとも、国会の最も重要な責務は「議論を尽くすこと」にあります。今回、予算の集中審議、そして党首討論の場が、ようやく実現する運びとなりましたが、その場において、国民の負託に真に応える、深い議論を交わすことこそが我々の果たすべき責務です。その決意を胸に刻み、ただいま議題となりました、下水道法等の一部を改正する法律案について、会派を代表し金子国土交通大臣に質問いたします。
はじめに、昨年1月に埼玉県八潮市で発生した下水道管の陥没事故では、尊い命が失われるとともに、約120万人に及ぶ長期間にわたる下水利用の制限や悪臭など、地域住民の生活に多大な影響を及ぼしました。また、昨年3月の秋田県男鹿市や8月の埼玉県行田市、さらには先日5月の福島県福島市で発生した点検・補修作業中の事故など、現場でインフラを支える作業員の方々の尊い命が失われる痛ましい事態も相次いでおります。硫化水素中毒などによる下水道関連の労働災害では、過去30年間で70名以上が犠牲になるなど、現場作業の過酷さと危険性は極めて高い状態にあります。改めて、お亡くなりになられた方々へ謹んで哀悼の意を表すとともに、危険な現場で日本のインフラを支えてこられた作業員の皆様に、深い敬意を表します。
現在、全国に張り巡らされた約50万キロの下水道管のうち、約1割弱の4万キロが耐用年数である50年を超えており、20年後にはこれが4割、21万キロを超える見通しとなっています。さらに、令和6年の能登半島地震をはじめとする度重なる自然災害において、管路の損傷による断水や下水機能の停止が長期化し、インフラの脆弱性が浮き彫りになっています。加えて、本年2月には岡山県総社市で老朽管の破損により土砂が詰まり、マンホールから排水があふれ復旧が3ヶ月程度に及ぶなど、老朽化する地下インフラの脅威を私たちに強く再認識させる出来事となりました。
こうした背景から提出された本改正案は、安全確保を最優先としたマネジメントの確立や、人口減少を見据えた持続可能な基盤強化を図るものであり、その方向性は評価するものです。しかしながら、数多くの課題が山積しています。
以下、大きく4点にわたり伺います。
第一に、老朽化対策の着実な実行と現場への支援についてです。
診断基準の法制化等は事故防止の観点から極めて重要である一方、多額の費用を要するのも事実です。現在、資産維持費を下水道使用料に算入している事業者はわずか22事業者、全体の19%にとどまっています。衆議院での答弁では、地方財政措置などを通じて修繕支援を充実させるとの説明がありましたが、今回の使用料算入の明文化により大幅な使用料値上げや赤字補填の拡大につながるのではないかという懸念を払拭するには不十分です。住民負担の急増を確実に抑えるためには、改修等により既存の下水道インフラの長寿命化を着実に推進するとともに、国による一層の手厚い支援が不可欠であると考えますが、見解を伺います。
また、人手不足が深刻な中での点検義務化は、業務量の急増や安全管理の低下を危惧させます。安全を確保しつつ増大する点検・改修業務を遂行するための人材確保と現場への支援策を、国主導で強化すべきと考えますが、見解を伺います。
点検の精度についても伺います。八潮市の事故では、事故の三年前に実施された浮流式カメラによる点検において、映像が取得できない区間であったにもかかわらず「中度」と診断され、必要な対策につながりませんでした。現在、ドローンなど人が管内に入らない手法について、自治体や民間企業との連携のもと、点検精度や効率性を高めるための技術開発が進められていることは承知しています。しかし、現行の取組状況と今後の課題を整理する必要があると考えますが、見解を伺います。
さらに、昨年実施された全国特別重点調査の結果、緊急性が高いと判断された箇所について国が原則1年以内の対策を求めている以上、中東情勢などによる部材価格の高騰が対策の遅れにつながってはいけません。国は現在の現場の実態を正確に把握しているのでしょうか。国から積極的に自治体や事業者へ直接ヒアリングを行うべきです。そのうえで、もし部材高騰等が実際の対策の遅れにつながっているのであれば、自治体や事業者への直接的支援も含め、国が主導して財政措置を講じることが不可欠であると考えますが、見解を伺います。
第二に、事業の持続可能性を高める広域連携と分散型への転換についてです。
広域連携の実効性確保について、衆議院で示された大都市等への補助制度は、移行時の初期費用を対象とした一時的支援にすぎません。愛知県西三河地域では、県と市町が連携し上下水道の一本化を検討する全国初の取組が進んでいますが、中核自治体からは、維持管理費を恒久的に抱え込むことで「自らの料金値上げや業務負担増につながる」との懸念が依然として示されています。使用料水準や起債残高の格差といった統合の根本的課題を克服するには、現行の対策では不十分です。連携の核となる中核自治体が納得して参画できるよう、より強力かつ継続的なインセンティブを付与し、実効性を高めるべきと考えますが、見解を伺います。
また人口減少下では、多額の維持費を要する集合処理から分散型への転換は不可避です。石川県珠洲市や静岡県南伊豆町では、被災や財政悪化を契機に浄化槽等への転換が検討・実施されています。しかし、各家庭の設置スペースといった物理的制約や、維持管理費増加への懸念が住民合意の大きな障壁となっています。さらに、施設廃止に伴う撤去費用や残存起債の負担も重くのしかかります。衆議院で答弁された合意形成ガイドラインの整備だけでは、多大な労力を要する現場の合意形成は進みません。災害に強い分散型への転換を後押しするため、下水道を所管する国土交通省と浄化槽を所管する環境省が縦割りを排し、政府一体で現場支援と十分な助成措置を講じるべきと考えますが、見解を伺います。
第三に、新技術の導入と道路管理者等との連携強化についてです。
点検や維持管理を担う現場の人手不足解消と安全確保に向け、ドローン等の導入は急務ですが、下水道のDX技術導入率は21%にとどまっています。衆議院での答弁では技術カタログの充実や財政的支援を行っているとのことでしたが、財政状況の厳しい自治体単独での導入は依然として容易ではありません。新技術の導入に際しては、ソナー等のデュアルユース技術やセンシング技術など日本の誇る最先端の技術を結集するとともに、導入事例の全国的な横展開を図ることが有効と考えます。新技術の全国的な普及に向け、より強力な技術的・財政的支援を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
本改正案には、下水道管理者と道路管理者、さらには道路占用者と道路管理者との連携を強化するための協定制度を新たに創設するとともに、埋設工事の完了時には竣工図等の提出を義務づけるなど、占用許可制度を見直す内容が盛り込まれています。これらの協定制度による連携強化や、地下空間情報の「見える化」を通じた住民の安全・安心の確保は、自治体任せにすべきではなく、国も主導的に対応すべき施策であると考えますが、見解を伺います。
第四に、下水の資源としての活用についてです。
下水道は単なる汚水処理施設ではなく、汚泥から回収されるリンは肥料として活用でき、発生するバイオガスはエネルギー源として利用可能であり、貴重な資源として位置づけられるべき存在です。循環型社会の構築に向け、下水を資源として最大限に活用するためには、他分野との連携や新たな産業育成を見据えた国の取組方針と支援策を一層強化することが不可欠です。政府として、こうした資源としての下水の活用をどのように推進していくのか、見解を伺います。
前向きかつ具体的なご答弁を金子国土交通大臣に求め、私の質問を終わります。
以上
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