田中健政調会長代理(衆議院議員/静岡4区)は3日、国民民主党を代表し、衆議院本会議で議題となった財政演説に対する質疑を行った。質疑の全文は以下のとおり。
国民民主党の田中健です。会派を代表して、ただいまの財政演説に対し質問いたします。
まず冒頭、申し上げます。今回、政府が中東情勢を踏まえ、補正予算を編成すること自体について、私たちは否定するものではありません。むしろ国民民主党は、早い段階から、ガソリン価格の高騰、電気・ガス料金の上昇、原材料や石油化学製品の供給不安に対応するため、「中東危機を乗り越えるための緊急経済対策」が必要だと訴えてまいりました。今回の補正予算に、ガソリン補助、電気・ガス料金支援、中小企業支援などが盛り込まれたことは、私たちの問題意識の一部が反映されたものとして、一定評価いたします。しかし、問題はここからです。
国民民主党が実施した緊急アンケートには、3,500件を超える声が寄せられました。その中で特に多かったのが、石油関連商品の不足や価格高騰に関する声です。エンジンオイルが入らない。ブレーキオイルが足りない。車検や自動車整備に支障が生じている。こうした切実な声が届いています。自動車は、地方の暮らし、物流、通勤、通院を支える生活インフラです。整備に必要なオイル類が不足すれば、単なる価格高騰にとどまらず、国民生活や経済活動に直接影響します。
総理に伺います。エンジンオイル、ブレーキオイルをはじめ、自動車整備に必要な石油関連商品の安定供給について、政府はどのような実態把握を行い、どのような対策を講じるのか。支障が出ないよう万全の措置を講じるべきと考えますが見解を伺います。
次に、補正予算の基本姿勢について伺います。
総理は、中東情勢が依然として不透明であり、国民の命と暮らし、経済活動に支障が生じないよう、リスクを最小化するため補正予算を編成すると説明されました。この認識は、私たちも共有しています。ガソリン、軽油、重油、灯油などの燃料価格は、地方の生活、物流、農業、漁業、中小企業の経営に直結します。また、電気・ガス料金の上昇は、家計だけでなく、製造業、飲食業、医療・介護、学校など、地域のあらゆる現場に影響します。したがって、足元の価格高騰を抑える緊急対応は必要です。
その上で伺います。今回の補正予算は、単なる価格抑制にとどまらず、国民生活、雇用、地域経済を守るための緊急経済対策として、どのような効果を見込んでいるのか。総理の基本認識を伺います。
次に、ガソリン補助について伺います。
ガソリン価格を抑えることは、今、必要な対策です。特に地方では、車がなければ通勤も通院も買い物もできません。物流、農業、漁業、建設業にとっても、燃料費は死活問題です。しかし同時に、ガソリン補助には課題があります。第一に、財源です。補助額が大きくなれば、毎月数千億円規模の財政負担となります。中東情勢が長期化すれば、補助金は際限なく膨らむおそれがあります。第二に、出口戦略です。補助金で一時的に価格を抑えても、補助が終われば価格は戻ります。そのたびに国民生活が不安定になる。この繰り返しでは、家計も企業も将来の見通しを持てません。
総理に伺います。ガソリン補助を、いつまで、どの水準で、どの条件のもとで続けるのか。原油価格、為替、ホルムズ海峡情勢、基金残高、財政負担など、どの指標を見て見直すのか。政府として、ガソリン補助の出口戦略を明確に示すべきではありませんか。見解を伺います。
次に、一律補助から重点支援への転換について伺います。
電気・ガス料金支援についても、これから本格的な夏を迎える中で、命と暮らしを守るために必要です。しかし、全てを一律支援策で対応することには限界があります。今、本当に苦しんでいるのは、物価高と社会保険料の負担で手取りが増えない勤労世帯です。賃上げがあっても、税と社会保険料で手取りが思ったほど増えない。子育て、住宅ローン、教育費、介護費を抱えながら、毎月の家計に苦しむ中所得者です。国民民主党が訴えているのは、価格を抑える対策に加えて、働く中低所得の勤労者に直接届く支援を組み合わせるべきだということです。
総理に伺います。今回の補正予算は、ガソリン、電気・ガス料金支援など、価格を抑える対策が中心です。では、物価高と重い社会保険料に苦しむ中低所得の勤労者に対して、直接、手取りを支える対策は十分に盛り込まれているのでしょうか。今回の補正予算で、働く世代の可処分所得をどの程度増やす効果があるのか、認識を伺います。
ここで、国民民主党の提案を申し上げます。
私たちは、衆議院選挙でも、社会保険料還付付きの住民税控除を導入すべきだと訴えてきました。これは、現行制度を活用しながら迅速に実現できる、国民民主党版の給付付き税額控除です。所得税の基礎控除等を引き上げ、年収の壁を見直すことは重要です。しかし、それだけでは届かない人がいます。所得税や住民税を十分に納めていない人には、減税の恩恵が及びにくい。しかし、そうした方々も、働いていれば社会保険料を負担しています。税金は少なくても、社会保険料は重くのしかかっている。ここに光を当てる必要があります。従来型の住民税非課税世帯への給付では、給付対象の多くが高齢者世帯となります。もちろん高齢者支援も大切です。しかし、働いているのに手取りが増えない現役世代を支えることで、国民民主党は、「現役世代から豊かになろう」。そして、子ども世代・高齢者世代を支える存在になろうと訴えてきました。
その第一ステップとして、本格的な制度導入を待たず、簡易な給付措置として、社会保険料を負担している中低所得の勤労者に対し、社会保険料還付を前倒しで実施すべきです。たとえば、対象となる勤労者に5万円程度の給付を行う。これは単なるバラマキではありません。働く人の社会保険料負担を軽減し、手取りを増やす政策です。
総理に伺います。国民民主党は、本格的な給付付き税額控除の導入に向けた第一ステップとして、社会保険料還付の前倒し給付を提案しています。物価高と社会保険料負担に苦しむ勤労世帯を迅速に支援するため、今回の補正予算にこうした給付措置を盛り込むべきではありませんか。総理の目指す給付付き税額控除を前倒しして実施することにもつながると考えますが、見解を伺います。
次に、食料品消費税と給付付き税額控除の議論について伺います。
現在、国民会議で食料品の消費税の扱いについて議論が行われています。一部報道では、税率を1%にし、来年4月1日からの実施を目指すとも伝えられています。しかし、仮に最速でも来年4月ということであれば、今年度中の支援にはなりません。国民が物価高に困っているのは、今です。しかも、国民の皆様が苦しんでいるのは食料品だけではありません。日用品、家賃、教育費、介護費、あらゆる物とサービスの値段が上がっています。さらに勤労者にとっては、インフレだけでなく社会保険料の負担も重い。この問題にこそ、政治が真正面から向き合うべきです。
総理に伺います。食料品の消費税について、政府として来年4月1日から税率1%で実施する方針を決めたのでしょうか。国民会議で議論の結果を尊重して決めるべきではないでしょうか。仮に4月1日から減税するとしても、それまでは減税も給付も何もありません。給付付き税額控除の本格導入を見据え、中低所得の勤労者向けの簡素な給付措置を年度内に速やかに実施すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、財政運営について伺います。
中東情勢への緊急対応は必要です。しかし、緊急対応であるからこそ、費用対効果と財政規律が問われます。総理は、赤字国債の発行総額は増やさずに対応できる旨を説明されています。しかし、市場が見ているのは、形式的に発行総額が増えるかどうかだけではありません。長期金利の上昇は、企業の借入コスト、住宅ローン、国債費、そして将来世代の負担に直結します。だからこそ、必要な支出は行う一方で、メリハリのある支出、効果の高い支出に絞る姿勢が必要です。
総理に伺います。赤字国債の発行総額が形式上増えないという説明だけでは、市場の信頼を十分に得るには不十分です。必要な緊急支援は行いつつも、ガソリン補助には出口戦略を設け、中低所得の働く世代へ支援を重点化していく。こうした財政規律を意識したメッセージを、マーケットに向けても発するべきではありませんか。総理の認識を伺います。
次に、中小企業と雇用について伺います。
中東情勢の影響は、燃料費や電気代だけではありません。原材料費、物流費、部品調達、資金繰り、価格転嫁、雇用維持にまで広がっています。特に中小企業は、大企業のように価格転嫁が十分にできません。仕入れ価格が上がっても、販売価格に転嫁できない。金融機関への返済もある。人手不足の中で賃上げもしなければならない。まさに三重苦、四重苦です。
財務大臣、経済産業大臣に伺います。今回の補正予算で、中東情勢の影響を受ける中小企業・小規模事業者に対し、資金繰り支援、信用保証、雇用調整助成金、相談体制などをどのように強化するのか。燃料費、電気代、原材料費の高騰に直面する事業者に、実効性ある支援をどう届けるのか、具体的に伺います。
あわせて、価格転嫁について伺います。
政府はこれまでも価格転嫁を進めると言ってきました。しかし、現場ではなお、「お願いはあっても、価格には乗せられない」という声があります。とりわけ、下請け、中小企業、地域の事業者は、取引先との力関係の中で声を上げにくいのが現実です。
経済産業大臣に伺います。中東情勢によるコスト増を、取引価格に適正に転嫁できるよう、政府はどのように実効性を確保するのか。取引Gメンなどによる調査を、単なる実態把握に終わらせず、是正、改善、再発防止につなげる仕組みをどう強化するのか、伺います。
次に、エネルギーの安定供給について伺います。
政府は、踏み込んだ節約をお願いする段階にはないと説明しています。もちろん、過度な節約を求め、経済活動にブレーキをかけることは避けるべきです。しかし、いつまでも「大丈夫だから気にせず使ってください」というメッセージだけでよいのでしょうか。中東情勢が不透明な中で、企業はすでに在庫や調達に不安を抱えています。石油化学製品、ナフサ由来製品、塗料、溶剤、部材など、現場では目詰まりも起きています。こうした時こそ、政府は冷静で現実的なメッセージを出すべきです。「必要な供給は確保する。だから過度に不安になる必要はない。しかし、資源の乏しい日本として、無理のない範囲で省エネ、節約、効率化に取り組もう。」この方が、むしろ国民と企業の安心につながるのではないでしょうか。
総理に伺います。中東情勢が長期化する可能性がある中で、政府は、単に補助金で価格を抑えるだけでなく、国民生活や経済活動に支障のない範囲で、省エネ、節約、効率化を呼びかけるべきではありませんか。「大丈夫だから使ってください」ではなく、「大丈夫だが、大切に使いましょう」という現実的なメッセージを、総理自ら発信すべきだと考えますが、見解を伺います。
次に、電力の安定供給と産業競争力について伺います。
日本の産業競争力を守るためには、安定した電力供給が不可欠です。電気代が高い。電力供給が不安定。将来の見通しが立たない。これでは、国内投資も、製造業の競争力も、地域の雇用も守れません。再生可能エネルギー、省エネ、蓄電池、送電網整備はもちろん重要です。同時に、安全確保を大前提とした原子力発電の活用、火力発電の安定運用、燃料調達の多角化も避けて通れません。
経済産業大臣に伺います。中東情勢の長期化を見据え、日本の産業競争力と国民生活を守るため、電力の安定供給をどのように確保するのか。安全確保を大前提とした原子力発電の最大限の活用、火力発電の安定運用、燃料調達の多角化、省エネ投資支援を含め、政府の具体的な方針を伺います。
最後に、石油化学製品・重要物資の目詰まり対策について伺います。
政府は、原油やナフサの必要量は確保していると説明しています。しかし、現場の実感は違います。塗料がない。シンナーがない。シーリング材・防水材・接着剤が入らない。すでに先売りが進み、新規注文を受けられないという声も届いており、まさに死活問題です。単に「総量は足りている」と説明するだけでは不十分です。どこで詰まっているのか。どの業種で不足しているのか。どの製品が代替困難なのか。政府が現場の実態を把握し、供給の目詰まりを解消する必要があります。
経済産業大臣に伺います。石油化学製品、ナフサ由来製品、塗料、溶剤、樹脂、部材などの供給不安について、政府はどの業種、どの製品で目詰まりが生じていると把握しているのか。また、これまでの対応でうまくいった事例、うまくいかなかった事例を検証し、今後どのように供給網の安定化を図るのか。さらに、先物買いが過度に進めば、数か月後、数年後に在庫があふれ、価格が暴落するリスクもあります。こうした副作用を防ぐため、政府はどのような対策を考えているのか、具体的に伺います。
今回の補正予算に求められるのは、単なる価格抑制ではありません。
国民生活を守ること。雇用を守ること。中小企業を守ることです。国民民主党は、批判ではなく、現実的な対案を示してまいります。中東危機を乗り越え、物価高に苦しむ国民生活を守り、働く人の手取りを増やす補正予算となるよう、政府の真摯な対応を求め、私の質問を終わります。
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