牛田茉友国対副委員長(参議院議員/東京都)は27日、参議院本会議で議題となった国家情報会議法案に対する賛成討論を行った。全文は以下のとおり。
国民民主党・新緑風会 牛田茉友
参議院本会議
国家情報会議設置法案に対する賛成討論
国民民主党・新緑風会の牛田茉友です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました「国家情報会議設置法案」に対し、
賛成の立場から討論を行います。
本法案により国家情報会議を設置することは、複雑化する国際情勢において、我が国のインテリジェンス機能を抜本的に向上させていくための極めて重要な第一歩であると考え、賛成いたします。
その上で、本制度を真に国民の信頼に足る、実効性あるものへと発展させていくための今後の課題として、以下申し述べます。
1. 現下におけるインテリジェンスの重要性と「情報の定義」
現在、我が国を取り巻く安全保障環境は、かつてないほど、多層的かつ複雑なものとなっています。
ロシアによるウクライナ侵略、中国による軍事的脅威の増大、北朝鮮の核・ミサイル開発に加え、
情報通信技術の進展に伴う外国による影響工作や偽情報の拡散、
さらには経済安全保障上の情報流出など、脅威の形は劇的に変化しています。
こうした事態が日常化する中で、的確な情報に基づき確かな施策を実行することは、
国と国民の安全を守るための「一丁目一番地」です。
国民民主党は、インテリジェンスを、国民の安全を守るための「政策判断の基盤」であり、
同時に「民主的統制の下に置かれるべき強い力」であると定義しています。
政策決定のエビデンスとなる情報を収集、分析し、その結果を適切に活用すること、
さらには情報を保全し、不当な情報工作に対処することを一体として捉えなければなりません。
安全保障施策は、時の政権の主観で行われてはならず、客観的な証拠に基づいた戦略性が、
今こそ求められています。
2. 国民民主党の独自法案と「議論の三本柱」
我が党は、インテリジェンス機能の向上は不可欠であると考えております。
しかし同時に、それは極めて強い力であり、運用を誤れば、国民の自由や権利、
民主主義の根幹に深刻な影響を及ぼしかねないという危うさを常に孕んでいます。
こうした認識の下、我が党は去年十一月、そして今年三月に
「インテリジェンスに係る態勢の整備の推進に関する法律案」を衆議院に提出いたしました 。
残念ながら否決されましたが、我が党は法案作成にあたり、これまでの改革の議論で
十分になされてこなかった「三つの柱」を議論の土台に据えました。
それは、「国民の人権と自由の尊重」、「国家の存立と主権の防衛」、
そして「インテリジェンスの最前線で活動する者の保護」です。
本法案は、組織の「器」を作る重要な第一歩です。
しかし、我が党が議員立法に明記した「外国の利益を図る活動の透明性の確保」や
「政治的中立及び民主的統制の確保」といった基本理念については、
なお途上にあると言わざるを得ません。
今後、真に機能する体制を築くためには、
我が党が示した包括的な視点が不可欠であることを改めて強調しておきます。
3. インテリジェンスの「政治化」防止と重層的な統制
インテリジェンスにおける最も深刻なリスクの一つは、
政治的意図によって情報が歪められる「情報の政治化」です。
政策に都合の良い情報だけが重視され、政策判断を正当化するために
情報が解釈されるようなことがあれば、国家の判断を誤らせ、国民を危機にさらします。
イラク戦争開戦の根拠となった「大量破壊兵器を保有している」との誤ったインテリジェンスや、
国内における大川原化工機をめぐる冤罪事件のような「立件という政策目的ありき」の情報収集は、
我々に極めて重い教訓を突きつけています。
こうした過ちを二度と繰り返さないために、
以下の点を運用の大原則として徹底することを政府に強く求めます。
第一に、不透明な運用を排するための「国会への誠実な報告と説明責任」です。
第二に、分析結果が政治側に左右されないための「政策部門と情報部門の厳格な分離」です。
情報の客観性と独立性を担保する仕組みの構築こそが、インテリジェンスの要諦です。
第三に、内部の論理を監視するための「独立的・第三者的な監視機能の導入」です。
諸外国が議会監督に加え、多層的な監視体制を敷いているように、
日本においても独立した監視機関の設置の検討を進めるべきです。
第四に、関係者の保護
現場で危険を冒す人々を守るのは、国の責務です。
第五に、後からの検証を可能とするための「歴史的検証に耐えうる記録の保全」です。
国家情報会議の議事録や配布資料は公文書として適切に管理され、
特定秘密であっても一定期間経過後には検証の対象とされるべきです。
4. 実効性ある体制のための人材確保と人事改革
体制を強化する上で、「誰が担うのか」という人材の問題も重要です。
サイバー、地政学、経済安全保障といった高度な専門分野において、
長期にわたり知見を蓄積する「プロフェッショナル」の存在なくして、この改革の成功はありません 。
しかし、現状の「ゼネラリスト育成型」の慣行や、数年単位で出向元の省庁へ戻っていく仕組みでは、
継続的な専門性の蓄積は困難です。
真に強力な組織を構築するため、出向元の省庁への復帰を前提としない人事異動の枠組みや、
採用段階から専門性を評価する独自の仕組みを構築する必要があります。
高度な機密を扱う職員の離職は、国家情報の流出リスクにも直結します。
既存の一般職給与法の枠内に留まらず、職務の特殊性を鑑みた「専門職手当」や「独自の給与体系」を
整備し、人材獲得競争に勝てる処遇を確保することを強く求めます。
さらに、予算面においても、既存のシーリングに縛られることなく、
「特別枠」の活用も含めた、継続的かつ重点的な財政的裏付けを講じる決断が必要です。
5. 外国代理人登録法と「透明性の確保」
今や脅威は、軍事的なものだけでなく、
外国勢力による不当な影響力行使や、偽情報の拡散という形で現れています。
こうした事態に対し、国民民主党が提唱しているのが「外国代理人登録法」の整備です。
外国政府等の利益のために国内の政策決定や世論形成に関与する主体を可視化することは、
健全な民主主義を守るための防壁です。
これは正当な言論活動や学術交流を制限するものではなく、むしろ「誰の利益を代表しているのか」を
明らかにすることで、国民の適切な判断を助ける仕組みです。
オーストラリアが情報機関と法執行機関を連携させ、登録せずに活動する主体を把握する
タスクフォースを設けているように 、日本においても「登録を促すだけ」に終わらない、
実効性ある法整備の検討を速やかに開始することを求めます。
本法案はあくまで「第一ステップ」に過ぎません。
国民民主党が抜本的なインテリジェンス改革の先に目指す未来は、
罰則で縛る社会ではなく、信頼と強靭さを持った社会です。
その実現に向け、我々は以下の三点を追求してまいります。
第一に、外国の干渉を「見える化」し、国民が自ら判断できる健全な民主主義の基盤を作ること。
第二に、過去の検証と不断の調査研究を通じて、時代に合わせて進化し続ける自己改革組織を確立すること。
第三に、徹底して透明性を高め、国民の理解と信頼を得る努力を続ける「信頼される政府」を実現することです。
インテリジェンスという巨大な力は、
国民の理解と信頼という揺るぎない土台があって初めて、真の力を発揮することができます。
政府には、機密に触れない範囲で中長期的な方針を公表し、不断の説明を尽くすことを改めて求めます。
本法案が、国民の安全と民主主義の価値を高い次元で両立させる、
真に機能する体制への歴史的な第一歩となることを願い、私の賛成討論といたします。
(タイトル抜き、実際に読む文字数のみ:2930文字)
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