牛田茉友国対副委員長(参議院議員/東京都)は27日、参議院本会議で議題となった経済安全保障推進法などについて質疑を行った。全文は以下のとおり。

国民民主党・新緑風会 牛田茉友
令和8年5月27日

参議院本会議代表質問
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律及び株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律案

国民民主党新緑風会の牛田茉友です。私は会派を代表し、ただいま議題となりました
経済安全保障推進法及び国際協力銀行法改正案について、経済安全保障担当大臣、経済産業大臣ならびに厚生労働大臣に質問いたします。

我が国を取り巻く安全保障環境は戦後最も厳しく、かつ複雑な局面にあります。
ロシアによるウクライナ侵略や緊迫する中東情勢は、エネルギーや原材料を海外に依存する我が国にとって単なる遠い国の紛争ではなく、国民生活を揺さぶる「現実の危機」です。

本来、安全保障とは外交・防衛のみならず、国民の生命、財産、暮らしをあらゆる脅威から守り抜く営みです。その中でも、経済活動の側面から国家の自律性を確保する「経済安全保障」の確立は、
一刻の猶予も許されない重要課題です。
私たち国民民主党は「自分の国は自分で守る」という観点から経済安全保障の強化を主張してきました。今回の改正が、国民の命と暮らしを守る「最強の盾」となるのか、実効性を問うべく質問を行います。

【イラン情勢を受けた原油価格の高騰と特定重要物資の在り方】 
第一に、特定重要物資の認定の在り方について伺います。 
中東情勢に伴う燃料価格高騰と混乱は、「経済の血流」であるトラック輸送網を直撃しています。
地元で伺う事業者の声は、危機感そのものです。 
特に深刻なのは、燃料調達の「構造的な歪み」です。
これまで多くの運送会社は、自社敷地内の「インタンク」を活用し安価に燃料を調達してきましたが、
昨今の供給不安から元売り各社がスタンド供給を優先した結果、インタンクへの給油が断られ、
事業者は高い店頭価格での給油を強いられています。

政府は「供給量は足りている」と繰り返しますが、安価な直接調達ルートが遮断され、かつ価格転嫁もままならない現状は、現場にとって「足りていない」のと同義ではないでしょうか。

精製・流通という「川中」での目詰まりが物流現場を直撃している現状に対し、経済産業大臣としてどのような認識を持ち、物流崩壊をどう防ぐおつもりか、お答えください。(経済産業大臣)
また、現行法で何が不足していたのか。今回の改正により、再び同様の事態が生じた際にどのような効果が期待できるのか、経済安全保障担当大臣の説明を求めます。(経済安保担当大臣)

さらにもう一つお尋ねします。ナフサ高騰の影響を受けるエチレン、プロピレン等の汎用化学品について、速やかに特定重要物資に指定し、備蓄や調達先の多角化を強力に後押しすべきと考えますが、
所管している経済産業大臣の見解をお伺いします。(経済産業大臣)

【医療分野の特定重要物資は「2種類」で国民の命を守れるのか】
第二に、特定重要物資の医療分野についてお尋ねします。

経済安全保障とは、単に産業や国を守ることだけではありません。
優先されるべきはその先にある「国民の命」です。しかし現在、医療関係の指定は抗菌薬と人工呼吸器のわずか2種類です。あまりにも少ないのではないでしょうか。

報道によれば、医療用容器や包装資材の納期が最長12週間に及び、地域医療は麻痺寸前です。
中でも、人工透析に使用される「透析回路」の供給不安は一刻の猶予も許されません。
人工透析治療の中断は、個人差はあれど、わずか数日から2週間前後での「死」を意味します。
およそ34万人もの透析患者は、今、自身の生命維持が地政学リスクによって断たれるかもしれない恐怖の中にあります。

また、輸入制約と需要のゆがみが重なれば麻酔薬や昇圧薬もわずか1〜2週間で深刻な不足に陥るという見方もあります。
透析回路や麻酔薬などを特定重要物資に指定するお考えはないのでしょうか。現在の指定状況をどう受け止め、不断のリスク調査に基づき迅速に指定を拡大する考えはないのか、厚生労働大臣の明確な答弁を求めます。(厚生労働大臣)

さらに、医療現場は、「医療用物資の深刻な不足と高騰」「人件費の高騰」「価格転嫁が不可能な公定価格の壁」という、「三重苦」により診療継続への危機感が強まっています。
不可欠な物資確保のため、機動的な財政支援や診療報酬上の手厚い手当をどう講じるのか、厚生労働大臣お答えください。(厚生労働大臣)

【第三:基幹インフラ制度と現場負担の矛盾】
第三に、基幹インフラ制度についてお尋ねします。
今回の改正では、基幹インフラ制度の対象に医療分野が追加されます。
国民民主党はセキュリティ強化には賛成ですが、現場への過度な負担は、結果として医療サービスの質を下げ、国民の不利益を招きます。 
① 以前の議論では「対象としない」とされていた病院を、今回、指定対象に含めることにした、
「状況の変化」と「理由」は何でしょうか。(経済安保担当大臣)

②また、電力や通信といったこれまでの対象15分野の業種と、地域医療の最後の砦としての機能を有する特定機能病院では、その組織規模も財政的余力も大きく異なります。セキュリティ対策に投資する余裕のない多くの病院に対し、煩雑な事務手続きの簡素化や、設備導入への直接的な財政支援をセットで行うべきではないでしょうか。今回、導入にあたって簡素化の努力はなさったのか、また、今後、どのような対策を行っていくつもりか、経済安全保障担当大臣の認識を伺います。(経済安保担当大臣)

【第四:シンクタンクに「インテリジェンス」はあるか】
第四に、新設される「総合的な経済安全保障シンクタンク」について伺います。
「総合的な経済安全保障シンクタンク」は、今年度中の運用開始を目指している、安全・安心に関するシンクタンク・「(仮称)重要技術戦略研究所」とは別組織としてスタートします。
両者はどのような役割分担をもとに設置されるのでしょうか。(経済安保担当大臣)

また、この組織は政府全体の幅広い政策要請に応える総合的な経済安全保障シンクタンクとするとのことですが、国家の安全保障に結びつけるためには、単なるシンクタンクにするのではなく、インテリジェンス機能を持たせる必要があるのではないでしょうか。

組織として高度な情報収集・分析機能を担保するつもりがあるのか、あわせて経済安全保障担当大臣にお尋ねします。(経済安保担当大臣)

【JBICの規律と基金の透明性。公的資金への責任を問う】
最後に、JBICを活用した新たな海外事業支援制度についてお尋ねします。 本改正案では、採算性に不確実性がある事業に対しても、劣後出資等による強力な支援が可能となりますが、国民の負託を受けた公的資金を原資とする以上、厳格な規律が求められます。
恒常的な赤字事業への投資を防ぐため、事前に定量的な「収支計画」を提出させるとともに、計画通りに進まない場合の明確な「撤退基準」を設けるべきではないでしょうか。また、従来以上にリスクをとることとなるJBICにおいて、適確な事業審査とモニタリングを行うための人材確保・体制整備をどのように進めるのか、経済安全保障担当大臣にお尋ねします(経済安保担当大臣)

経済安全保障の本質とは、国家を守ると同時に、私たちの暮らしを守ることです。
今日、明日を不安な思いで過ごしている透析患者の「命」を守り、現場でハンドルを握るトラック事業者の「汗」に報い、我が国の最先端技術という「知的財産」を死守することそのものです。

国民民主党は、この法律が、真に経済安全保障の要となり、国民が将来にわたって安心と豊かさを実感できる確かな基盤となるよう、今後も建設的な議論を行っていくことを誓い、私の質問を終わります。

(タイトル抜き、実際に読む文字数2791文字)

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