鳩山紀一郎政務調査副会長(衆議院議員/東京2区)は1日、衆議院本会議で議題となった災害対策基本法等改正案について質疑を行った。質疑の全文は以下の通り。

2025年4月1日
衆議院本会議

「災害対策基本法等の一部を改正する法律案」に対する趣旨説明質疑

国民民主党・無所属クラブ
鳩山紀一郎

 国民民主党・無所属クラブの鳩山紀一郎です。
 ただいま議題となりました「災害対策基本法等の一部を改正する法律案」について、会派を代表して、質問いたします。

 質問に先立ちまして、一言申し上げます。
 去る3月28日、ミャンマー中部において、過去100年で最大規模とされるマグニチュード7.7の大地震が発生し、ミャンマー国内のみならず、隣国タイにおいても、多くの尊い命が失われ、甚大な被害がもたらされました。犠牲となられた方々に対し、心より哀悼の意を表するとともに、被災されたすべての方々にお見舞いを申し上げます。被災地では現在も余震が続き、インフラの寸断や避難生活など、極めて厳しい状況が続いていると報じられています。日本としても災害大国としてのノウハウを活かし、国際社会と連携しながら、迅速かつ実効性のある支援を行っていくべきであると強く感じております。この思いを申し上げた上で、質問に入らせていただきます。

 改めていうまでもなく、日本は世界有数の災害大国です。この国に生きるということは、災害と常に向き合いながら生きることを意味します。それゆえ、私たちは自然の脅威を前提に、いかにして被害を最小限に抑え、迅速に立ち上がるかという知恵と備えを持たなければなりません。同時に、「災害から国民の生命と財産を守ることは国家の責務である」ということを、私たちは忘れてはなりません。国には、多様な災害を想定したうえで、合理的かつ実効性のある対策を整えておく責務があります。本改正案は、令和6年能登半島地震をはじめとするこれまでの災害の教訓を踏まえ、より現実的で機能的な災害対策を実現するためのものであると認識しております。

 そうした中、本年2月下旬、岩手県大船渡市で発生した林野火災により、実に2,900ヘクタールもの広大な森林が焼失するという、深刻な事態となりました。さらにその後も、愛媛県今治市や岡山県岡山市など各地で、例年を上回る規模の林野火災が相次いで発生しています。

 林野火災は、その特性上、いかに初期の段階で火勢を抑え込めるかが被害の規模を左右します。リモートセンシング技術を用いた早期検知に関する研究は、すでに20年ほど前から行われていたと承知しておりますが、現時点でその技術が実用レベルに達しているとは言い難く、今回の火災においても、NASAの「FIRMS」など海外の火災監視サイトを通じて延焼状況を把握するにとどまっていたのが現状です。林野火災の多くは、たき火や火入れなどの人為的要因によるものであり、初動対応においてアクセスが極端に困難になるケースは少ないと考えられます。であればこそ、もしリモートセンシングなどの研究開発が進み、初期段階での検知と対応が可能となっていれば、ここまで大規模な被害には至らなかったのではないでしょうか。阿部文部科学大臣のご見解を伺います。また、これまでこの分野の研究開発が十分に進まなかった背景についても、併せてご説明ください。

 林野火災が、時として激甚災害に指定されるほどの甚大な被害をもたらし得ることが明らかとなった以上、リモートセンシングやUAV(無人航空機)といった先端技術を活用し、林野火災の予防・監視に積極的に取り組んでいくべきではないでしょうか。坂井防災担当大臣のご見解をお聞かせください。併せて、本法改正を機に、「災害」の定義にこれまで含まれていなかった「林野火災」についても、地盤の液状化と同様に明示的に加えるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、国による地方自治体への支援体制の強化についてお伺いします。今回の法改正では、国が地方公共団体からの要請を待たずに、先回りして支援を行えるようになることが盛り込まれています。これは一歩前進ですが、実際の対応を担うのは現場の地方自治体です。そのため、たとえ法律で指示系統が明確に定められていても、現場での連携がうまくいかない可能性があります。たとえば、災害時にボランティアの受け入れを担うのは、多くの場合、市区町村の社会福祉協議会ですが、大量のボランティアが一度に訪れた場合、「いつ・どこで・どのような作業をしてもらうのか」といった調整に多くの労力が必要となり、対応が追いつかないことがあります。こうした現場で起こりうる課題については、避難訓練などで事前にシミュレーションし、備えていくことが重要だと考えます。しかし、災害はいつどこで発生するかわかりません。その中で、国が最大限に力を発揮するためには、どのような事態を想定し、どのような備えや行動を取っていくべきとお考えでしょうか。これまでの災害の教訓を踏まえたうえで、今後の国の対応方針について、坂井防災担当大臣のお考えをお聞かせください。

 次に、避難所環境の抜本的改善について、いくつか質問いたします。私はこれまで約20年にわたり、交通計画やまちづくりを専門とする研究者として活動してまいりました。東日本大震災の際には、岩手県釜石市の被災地に何度も足を運び、復興支援に携わった経験がございます。その中で、避難所となった学校の体育館で、多くの方々が窮屈そうに雑魚寝をしておられる姿を、幾度となく目の当たりにしてきました。今の日本では、学校の体育館などのプライバシーがない空間での避難生活が当たり前になっており、安心して暮らせる環境になっていません。この環境が好ましくないからこそ、自家用車の中に避難をする方もいらっしゃるわけですが、その場合はプライバシーを守ることはできる一方で、やはり狭い空間内で生活をしなければならず、エコノミークラス症候群になってしまうリスクなども指摘されています。そして避難生活で心身ともに苦しんだ結果として、「災害関連死」も増えてしまう。度重なる災害を経験しながら、なぜ避難所環境の抜本的改善が進まないのか。いまの日本の現状は、まるで「みんな大変なのだから、我慢するのが当たり前だ」と、国が被災者に我慢を強いているかのようであり、到底看過できません。

 石破総理は今般、「避難所の環境をスフィア基準に沿ったものとするよう促す」と発言されましたが、スフィア基準では、1人あたり3.5平方メートルの居住スペースや、20人に1基以上のトイレの設置が求められており、その実現には相当の創意工夫が必要です。近年、良好な避難所環境の例としてよく比較されるのがイタリアです。イタリアでは災害時、トイレ・キッチン・ベッド(TKB)に加え、シャワー・テント・食堂なども整備された避難所が設置されます。中でも注目すべきは、避難所の設営を原則として「被災地以外」の近隣自治体が担う仕組みが制度化されている点です。これは「被災自治体の職員もまた被災者である」という、ごく当然かつ合理的な発想に基づくものです。日本においても、同様に避難所設営は原則として他の自治体が担うべきではないでしょうか。坂井防災担当大臣のご見解を伺います。

 また、ボランティアに対する考え方についても、イタリアと日本では大きく異なります。日本では、被災地で活動するボランティアに対して基本的に実費弁償しか行われませんが、イタリアでは職能訓練を受けた専門的ボランティアが主であり、出動時には給与や保険料も支払われるなど、生活保障が制度として整っています。こうした仕組みは、被災地への迅速かつ継続的な支援を可能とする、極めて合理的な制度です。今回の法改正により、「被災者援護協力団体」の登録制度が創設されますが、災害時に十分な職能ボランティアを確保・派遣するには、実費弁償に加えて報酬支給も制度化すべきではないでしょうか。さらに、そのためには平時においてどの程度の数や種類の職能ボランティアに登録しておいてもらうべきか、国として具体的にどこまで想定できているのか、坂井防災担当大臣に伺います。

 加えて、災害時に必要となる資機材や備蓄品についても同様に、必要となる量や内容について、国として十分に想定できているのでしょうか。いざという時に備え、地方自治体に丸投げするのではなく、国が率先して資機材や備蓄品を調達し、全国の自治体へ配備するような、よりプロアクティブな体制整備が求められていると考えます。こちらについても、坂井防災担当大臣のご見解を伺います。

 次に、住民への情報伝達の在り方についてお伺いします。

 これまでの災害対応において、現場の被災者からは「どこに何を申請すればよいのかわからない」「情報が錯綜している」といった声が数多く寄せられてきました。実際、弁護士や司法書士の方々が自ら被災地を回り、「まずは罹災証明書を役所で取得してください」「家屋の被害状況は写真に残しておいてください」といった基本的な説明をしてくださっている現状も少なくありません。今回の法改正案には、「情報通信技術その他の先端的な技術の活用に努める」との文言が随所に盛り込まれていますが、その具体的な内容や実効性は依然として不透明です。災害前後を問わず、住民に必要な情報をいかに正確かつ迅速に、そして分かりやすく届けるかは、被災地の混乱を最小限にとどめる上で極めて重要です。しかし現状では、国が「有益な情報を提供している」と考えていても、それが住民一人ひとりにとって理解しやすく、必要なときに確実に届いているとは言い難いのが実態ではないでしょうか。情報の「質」だけでなく「伝え方」「届き方」に、まだまだ課題が残されています。国として今後、どのような工夫や体制整備によって、住民への情報共有をより効果的に進めていくおつもりなのか。災害時の混乱を防ぐための情報戦略について、坂井防災担当大臣のお考えをお聞かせください。

 最後に、株式会社地域経済活性化支援機構、いわゆるREVICについてお伺いします。REVICは、地域経済の活性化および事業再生を目的とした官民共同出資のファンドであり、これまでにも一定の成果を挙げてきたと承知しております。政府が2月14日に国会に提出した「株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律案」においては、災害後の「復興フェーズ」におけるREVICの位置付けを明確にし、その活用を促進する趣旨が盛り込まれていると理解しております。しかしながら、被災した事業者への金融支援については、すでに民間金融機関や日本政策金融公庫なども融資対応を行っている実情があります。そうした中で、あえてファンドスキームを用いた支援を強化する意義はどこにあるのでしょうか。その必要性と具体的な優位性について、そして各機関との役割分担について、赤澤経済財政政策担当大臣にお伺いしたいと思います。

 また、REVICがすでに関わっている復興支援ファンドの事例について、私もいくつか承知しておりますが、それらの運用実績や成果について、現時点でどのような評価がなされているのか。成功事例・課題の双方を検証し、そこから得られた知見を今後の制度運用や支援のあり方に反映していく姿勢が求められると考えます。そのような観点から、REVICのこれまでの取り組みに対する評価、ならびに今後の戦略的活用の方向性についても、赤澤経済財政政策担当大臣の所見をお聞かせいただきたく存じます。

 改めて、「災害から国民の生命と財産を守ることは国家の責務である」という原点に立ち返り、海外の優れた事例には積極的に学び、さらに日本の実情に即した改良を加えていくことで、避難所では被災者の尊厳が確保され、支援者も安心して支援にあたれる――そんな、世界に誇れる「防災大国・日本」の実現に向けて、果断な取り組みを進めていくべきだと考えます。私自身も、できる限りの貢献をしてまいりますので、ぜひ前向きかつ具体的なご答弁をお願い申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ご清聴、誠にありがとうございました。

The post 【衆本会議】鳩山紀一郎議員が災害対策基本法等改正案について質疑 first appeared on 新・国民民主党 – つくろう、新しい答え。.