浜口誠政調会長(参議院議員/全国比例)は9日、参議院本会議において、政府の財政演説に対する質問を行った。全文は以下の通り。

財政演説(令和6年度補正予算)に対する本会議質問

 国民民主党・新緑風会の浜口誠です。会派を代表して、令和6 年度補正予算に関して、総理に質問します。

 能登半島地震や豪雨災害に対する復旧復興に関して伺います。国民民主党は、与党との三党協議において、被災地から寄せられた声、要請を踏まえ、道路の早期復旧、災害救助法の対象外となっている災害公営住宅の用地費、造成費への支援強化、国定公園内の被災施設の復旧費への災害対応特例の適用を求めました。それぞれに対して、具体的にどのように対応していくのか、お示し下さい。また、多量の土砂・流木・がれきの処理に対して、被災地への人的・技術的支援や広域処理体制の構築に向けた支援が必要です。国の支援策を伺います。国民民主党は、衆議院選挙の重点政策として、全国の避難所となる体育館へのエアコン設置を掲げました。現状では、全国の公立小中学校等の体育館のエアコン設置率は、約2222%です。体育館のエアコン設置は、災害対策と同時に、子供達の熱中症対策としても、極めて重要です。総合経済対策には、ペースの倍増を目指して計画的に進めると書かれていますが、具体的な対応を伺います。また、エアコン設置に伴う電気代などのランニングコストに対しても、国として支援すべきと考えます。見解を伺います。

 持続的な賃上げ実現に関して伺います。中小企業庁の最新調査では、コスト全体の価格転嫁率は、49.7%であり価格転嫁は、道半ばです。デフレに逆戻りさせず、分岐点にある日本経済の好循環を実現していくためには、来年以降も、物価に負けない賃上げの継続が極めて重要です。政府として、価格転嫁の更なる徹底、持続的な賃上げ実現に向けた対策をお示し下さい。

 103万円の年収の壁について伺います。総理は、所信の中で、令和7 年度税制改正の中で議論し、103万円を引き上げると明言されました。1995年から約30年間、全く動かなかった103万円の壁が、ついに動きます。衆議院選挙で示された国民の民意によって、政策を前進させることができる、象徴的な事例だと言っても過言ではありません。国民民主党は、基礎控除等を現在の103万円から、1995年以降の最低賃金の伸び率を踏まえ、178万円に引き上げることを提案しています。憲法第25条の生存権への対応、パート、アルバイトで働く皆さんが、働きたいけど働けない、といった働き控えの解消、手取りを増やすことによる消費の活性化等の観点からも、令和7年分から早期に178万円に引上ることは、絶対に必要な政策です。所見を伺います。また、財源についても、地方自治体からは、国に対して税収減への補填を求める意見が上がっています。103万円の引上げにあたっては、地方財源に影響を与えないよう国として、適切な対応を取るべきです。見解を求めます。

 年少扶養控除の復活と16 歳から18 歳の扶養控除の存続・拡大について伺います。全世代の中で、法令上原則として働くことが出来ず、家族が生活を保障しなければならない15歳以下の子供達だけ扶養控除がありません。年少扶養控除の復活は、税制による子育て支援です。年少扶養控除の復活を望む多くの声が、届いています。年少扶養控除の復活を強く求めます。見解を伺います。また、16歳から18歳の扶養控除の縮小・廃止は、子育て世代への増税です。16歳から18歳の扶養控除は存続・拡大すべきです。お考えを伺います。

 エネルギー基本計画の見直しに関して伺います。日本では、2050年カーボンニュートラルに向けた電化の進展やデータセンター・半導体工場の新設などに伴い、電力需要が大きく伸びていく可能性が高まっています。今後の電力需要の見通しをお聞かせ下さい。現在、第7次エネルギー基本計画が検討されています。再エネや原子力発電などの脱炭素かつ他国への依存度の低い電源を最大活用するとともに、原子力発電などの現場を支える人材確保・育成や技術の維持、強化、国産化などの国内サプライチェーン確保にも取り組むべきです。見解を伺います。基本計画には、原子力の必要性を明確にし、安全を前提にした原子力発電の稼働とともに、建替え、新増設を明記すべきです。また、原子力発電に関する規制機関の体制強化や審査の効率化により、長期化している適合性審査を加速させるべきです。以上2点の所見を伺います。

 自動車の税金について伺います。ガソリンには、本則の税率に、約倍の税金が上乗せされています。この上乗せ分が、いわゆる暫定税率です。暫定という言葉を聞いて、石破総理は、どの程度の年数を想像しますか、率直にお答えください。暫定税率は、1974年から当初は、2年限定の予定でしたが、何と50年続いています。ガソリン代が高止まりする中で、即刻、暫定税率を廃止すべきです。見解を求めます。また、自動車購入時には、環境性能割と消費税の2種類の税金が課税されます。購入時の負担を軽減し、市場を活性化するため、環境性能割を廃止すべきと考えます。見解を求めます。

 薬価の中間年改定について伺います。国民、患者のもとに薬が届かない状況が、4年間継続し、国民生活や医療に大きな不安を与えています。医薬品の供給不安を解消し、安定した供給基盤の整備、創薬への取り組み等を再構築するため、薬価の中間年改定は、廃止すべきです。見解を伺います。また、日本の新薬の開発力は、低下するとともに、欧米では承認されている医薬品が、日本では未承認や開発自体がされていない、いわゆるドラッグラグ、ロスの問題が顕在化しています。日本の医療を守るため、こうした課題に早急に対応すべきです。所見を伺います。

 食料安全保障に関して伺います。来春策定の次期食料・農業・農村基本計画に対して、自民党幹部から、「食料安全保障の強化に向けた直接支払いの見直しが必要」との考えが示されています。中山間地域を含む農地の維持や食料自給率向上、農業の担い手確保等の観点から、国民民主党も、「食料安全保障基礎支払い」の創設を提言しています。直接支払い制度に対する見解を伺います。

 自動車産業に関して伺います。カーボンニュートラルへの対応は、大きな課題の一つです。環境にやさしい車である電動車等の普及促進に向けて、クリーンエネルギー自動車や商用電動車への補助金の継続・拡充、充電器や水素ステーションなどのインフラ整備支援が、不可欠です。こうした課題への支援策をお答え下さい。また、自動車ユーザーの保険料を原資とした自賠責保険料が、一般会計に繰り入れられてから30年経過しましたが、依然約5800億円が戻っていません。直近の繰り戻し額は、当初予算では65億円であり、このペースでは全額繰り戻すのに100年かかります。自賠責保険料は、税金ではありません。少なくとも10年以内に全額繰り戻すことを強く求めます。この点については、総理、財務大臣、国土交通大臣に見解を求めます。

 地方創生に関して伺います。地域の公共交通の維持・確保は、地方で暮らす国民にとって極めて重要な課題です。とりわけ、鉄道支援の国の年間予算は、約1000億円程度と極めて少ないです。EU のように鉄道に対して、国が予算を大幅に増額し支援すべきです。総理の見解を求めます。また、地方創生の最大のポイントは、移動のコストを下げることです。地方への産業誘致、観光産業の活性化、二拠点居住促進等を図るため、高速道路をもっと利用しやすくすべきです。現在の高速道路料金は、対距離制料金で、走る距離が長くなると料金も高くなり、利用の大きな足かせになっています。高速道路料金の発想を大転換し、ワンコイン500円で高速道路走り放題の料金を導入することを提案します。税金を使わずに実施できる、地方創生の切り札になります。総理、ワンコインやりましょう。見解を求めます

 最後に、国民民主党は、各党とも等距離に政策ごとに協議を行い、政策実現に向けて全力で取り組みます。その決意を申し上げ、質問を終わります。

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