川合孝典幹事長代行(参議院議員/全国比例)は21日、国民民主党を代表し、参議院本会議で議題となった「 令和五年度政策評価等の実施状況等報」に対する質疑を行った。質疑の全文は以下のとおり。 

令和6年6月21日 

令和五年度政策評価等の実施状況等報告に関する件 

国民民主党・新緑風会 川合 孝典 

 国民民主党・新緑風会の川合孝典です。 
 会派を代表して政策評価等年次報告に関して質問します。 

1.被災地復旧に向けたボランティア受け入れ体制を整備する必要性についての認識 (防災担当大臣) 

 冒頭、被災地復旧に向けて不足しているボランティアの受け入れ体制を速やかに整備・支援する必要性についての認識を問います。 

 能登半島地震によってお亡くなりになった方、その後、震災関連死と認定された方の数が、熊本地震での死者数を上回わりました。能登半島地震でお亡くなりになった方々に、心から哀悼の意を表すると共に、被災された皆様にお見舞い申し上げます。 
 既に発災から約半年が経過していますが、未だ被災地の多くは復旧のめどが立っておらず、現在進行中の災害であることを我々は再認識する必要があります。 

 速やかな復旧を図る上でボランティアの協力は欠かせませんが、地理的な事情や宿泊施設不足などの理由により、発災当初から現在に至るまで慢性的なボランティア不足に陥っています。ボランティア支援を、被災自治体任せにするではなく政府としてボランティア用宿泊施設や移動手段の確保など、自治体と連携して積極的に支援すべきと考えますが、防災担当大臣の見解を求めます。 

2.定額減税に対する世論の評価が低い理由は何故だと考えているか(財務大臣) 

 定額減税に対する世間の評価について認識を問います。 
 政府肝いりの定額減税がいよいよ始まりましたが、各種世論調査によると、評価しない・あまり評価しない、が6割近くと、すこぶる低い数字が出ています。普通、減税するといえば、納税者は好意的に評価するものですが、これほどまでに評価が低い理由は何故だと分析しているのか、財務大臣の見解を問います。 

3.一度きりの定額減税による政策効果をどのように見込んでいるのか? (財務大臣・経済産業大臣) 

 定額減税の政策効果について質問します。 
 政府は、6月に定額減税を行う理由について、「春季労使交渉による賃上げや賞与の時期に、減税を合わせることで所得の伸びが物価の上昇を上回る環境を確実につくり、目に見える形で達成できる」としていましたが、足元の実質可処分所得の増減率は賃上げ後でもなお、2.6%のマイナスとなっています。 
 また、いわゆる異次元の少子化対策の名の下、一兆円の財源を捻出するため、健康保険料の負担増が控えているほか、2027年度には法人税・所得税・たばこ税の引き上げが予定されている中、一度きりの定額減税によって消費者の財布のひもが緩むとは到底考えられません。政府は今回の定額減税による景気底上げ効果をどのように見込んでいるのか、財務大臣及び経済産業大臣の見解を求めます。 

4.定額減税実施による、システム改修や事務負担のコストは検証するのか? (財務大臣・総務大臣) 

 毎年の年末調整や確定申告で減税額を一度に差し引いたり、対象者を絞って一律に給付したりする方がシンプルで手間も減らせるにも関わらず、毎年12月末までの1年間の所得が対象となる所得税の減税を6月に行いました。また住民税減税は、6月に一旦住民税をゼロにした上で、住民税の支払予定額から1万円引いた額を7月から翌年5月までの11か月間に分割して徴収するという、面倒極まりない方法で減税することとしました。 
 その結果、企業を中心に自治体にもシステム改修や事務作業に膨大な費用と負担を強いる形となり不満の声が高まっています。この不可解な定額減税を巡っては、各界の有識者からも政策の費用対効果を検証する必要性について指摘する声が上がっています。 
 今回、4万円を減税するためにいったいどれだけのコストがかかったのかを確認の上、国会に報告すべきと考えますが、財務大臣及び総務大臣の認識を問います。 

5.減税は給与明細への記載を義務付けたが増税する場合も給与明細に記載するのか? (財務大臣) 

 またこれまでの政府答弁では、定額減税の実施にあたり、 「行動経済学」の観点から、として給与明細に減税額の記載を義務付けましたが、減税対象から外れる方々は、6月に一旦減税された上で、年末調整や確定申告時に減税分が調整されることとなります。 
 こういった方々は、そもそも減税対象ではないのに減税と記載されている訳なので、年末調整の折には、給与明細に増税理由を記載すべきと考えますが財務大臣の見解を求めます。 
 なお蛇足ながら、「行動経済学」の重要な概念であるナッジ理論とは、「人間の行動を分析して、小さなきっかけで人々の意思決定に影響を与えることで、反発を招くことなく、そっと行動変容を促す手法」です。今回のように減税額の給与明細への記載を義務化してまで、あからさまに減税額を宣伝している今回の定額減税は、とても「行動経済学」の理論に則ったものとは言えない、ということは指摘しておきます。 

6.「給付付き税額控除」の導入に向けた検討を加速すべきではないか? (財務大臣) 

 給付付き税額控除を導入する必要性についての認識を問います。 
 給付付き税額控除を導入する上での最大の課題は、正確な所得の把握ですが、2016年のマイナンバー導入によって正確な所得把握の条件は整っていると言えます。 
 一方、会計検査院の調査によると地方自治体におけるマイナンバー情報連携は未だ充分に活用されておらず、特に税金の減免等に係る、485手続きは全く使われていない実態が明らかになっています。 
 もし 「給付付き税額控除」の仕組みが導入されていれば、今回の定額減税や給付も一貫性を持って実施出来た上、減税や給付の事務作業にこれほど煩わされることがなかったことは明らかです。機動的かつ効果的な政策を実施するため、マイナンバーの活用による 「給付付き税額控除」の導入を本格的に検討すべきと考えますが、財務大臣及び総務大臣の見解を求めます。 

7.燃料油価格激変緩和対策補助金の出口戦略についての見解 (財務大臣・経済産業大臣) 

 燃料油価格激変緩和対策補助金の出口戦略について質問します。 
 令和4年1月に始まった同補助金は、令和5年1月に始まった電気・ガス補助金で措置された予算を合わせると、予算額はすでに10兆円を超えています。しかも今回の燃料油への補助金の延長は、期限すら設けられておらず、今後の対応が不透明で、齋藤経産大臣も「いつまでも続けるものではない」と指摘しています。 
 一方、企業や消費者は高止まりする燃料価格に家計を圧迫される中、燃料価格政策の先行きに不安を感じており、このことが消費行動にも悪影響を及ぼしています。 
 燃料油価格激変緩和対策補助金の出口戦略の策定が急務と考えますが、財務大臣及び経済産業大臣の見解を求めます。 

8.補助金からトリガー条項の凍結解除によるガソリン減税にシフトすべきではないか? (財務大臣) 

 燃料油価格激変緩和対策補助金は、石油元売り会社に補助金を入れる形をとっているため、適正に小売価格に反映されていない可能性を会計検査院が指摘しています。 
 ワイズ・スペンディングの観点からも、出口戦略の見いだせないガソリン等への補助金をだらだら継続するより、トリガー条項の凍結解除によるガソリン減税にシフトすべき、と考えますが、財務大臣の見解を求めます。 

9.家計への影響がより大きい、電気・ガス代のみ補助を終了した理由 (経済産業大臣) 

 昨年1月に始めた電気・都市ガス向け補助金が、5月末でそおっと打ち切られました。 
 専門家の試算によると、ガソリン補助がなくなるより電気・ガス補助金がなくなる方が、家計への負担は重いと指摘されています。 
 電気・ガスの補助金を打ち切った理由について、政府は「国民生活や経済活動への影響を考慮した」と説明していますが、これではまったく説明になっていません。 
 可処分所得の底上げが政府の最優先課題である中、家計への影響が、より大きい電気・ガス代のみ補助金を終了した理由を国民が理解出来るよう経済産業大臣はご説明下さい。 

10.いまこそ消費税減税を行うべきではないか? (財務大臣) 

 最後に消費税減税の必要性について質問します。 
 本来、物価上昇で国民生活が苦しくなった時こそ、継続的な減税を行うのが最もオーソドックスな景気刺激策であり、実際コロナ禍の中、欧米先進国では消費税減税を行う国が相次ぎました。財務省は一旦税率を下げると戻せなくなることを恐れて、消費税減税を封印してしまっていますが、その硬直的な政策こそがデフレを長引かせたことは、結果からも明らかです。30年来のデフレから本格的に脱却出来るかどうかの瀬戸際にある現在、消費を喚起する上で、期限やインフレ目標の設定を行った上で消費税減税を行うことが最も有効と考えますが、財務大臣の見解を求めて質問を終わります。 

以 上 

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